錦鯉をはじめとした観賞用魚の輸出が増えている。財務省の貿易統計によると、2014年の輸出額は前年より3.4億円増え、33.1億円。輸出先は、香港が約3割。オランダ、タイ、インドネシアと続く。特に東南アジアは近年輸出額が急増している。
国際貨物の輸出入を手掛けるナカムラエアーエクスプレスの北澤貴弘氏は、この理由を「東南アジア諸国では、経済状況がよくなり富裕層が増えているため、錦鯉が“富の象徴”となってきている」と指摘。海外からのニーズが高まった結果、「現在日本で養殖されている錦鯉の9割は海外輸出用。需要に対して生産が追いついていない状況」と話す。
錦鯉の価値は、色合いやサイズに加え、「色っぽさ」で決まるという。「色っぽさ」とは、泳ぎ方やひれの動きのこと。高いものになると1匹2000万円の値がつく場合もある。
最近では、有数の産地である新潟などの養鯉場経営者が日本への錦鯉買い付けツアーを企画し、香港やタイなどから、多くの富裕層が参加しているという。北澤氏は「錦鯉は育てるのが難しい。そのため買い付けた錦鯉をそのまま日本の養鯉場で育ててもらい、日本の品評会に出す人が多い。近年、優勝するのは、シンガポール人やタイ人、中国人が所有しているケースが増えている」。
(大橋昭一=図版作成)