「非日常」のワナ

JK課活動報告ブログ(http://ameblo.jp/sabae-jk/

「JK」こと女子高生が、地方の中小都市でまちづくりの主役を担う「鯖江市役所JK課」が発足してから約4カ月。当初は、企画の特異性にばかり注目が集まっていましたが(詳細は連載第4回 http://president.jp/articles/-/12676 を参照)、その活動が少しずつ具体的になり、ニュースや新聞でも取り上げられるにつれ、彼女たちを取り巻く環境は大きく変わりました。一番は、市役所職員や地域の大人たちに加えて、企業や団体など、様々な社会との「連携」が生まれているということです(詳しくは、JK課活動報告ブログ http://ameblo.jp/sabae-jk/ を参照)。小さなまちで起きる、大きな変化。

「JK課」はかなり実験的なアプローチでしたが、徐々に地域を巻き込み、賛否はあるものの社会に受け入れられつつもあるという点では、滑り出しは大成功と言っていいかもしれません。ここまで来ることができたのは、周囲からの雑音や不安にひるむことなく、「自分たちが出来ることを、自分たちなりにやっていこう」と決心した女子高生メンバー本人たちの強い覚悟とコミットメントがあったからにほかなりません。一方で、活動を進めるなかで見えてきた課題もあります。今回は、JK課を通じて僕が気づいたこと、学んだこと、そして、これからのまちづくりやライフスタイル開発においてとても重要だと感じたことを書きたいと思います。

これまでの4カ月間で、色々と活動が形になりました。一番の目玉は、ニュースにもなった、オープンデータを活用した図書館の空席情報アプリ「Sabota」の考案と運用。他にも、運送会社と連携した清掃イベントや、地元のスイーツ協会との商品開発プロジェクトなどが進行中です。こうなってくると、JK課のメンバーは各種イベントやお祭りにも引っ張りだこです。ついには、全国放送の番組企画とのコラボレーションまで生まれたり、こういう状況には、それまで地方で普通に生活していた女子高生たちのテンションも激上がりです。当然、メンバーの保護者もとても喜んでいたし、JK課をサポートする鯖江市職員の皆さんにとっても嬉しいこと。そして、僕も毎回そういうニュースを聞くたびに、ニヤニヤしていました。

こういう状況を僕自身も喜びながら、今後の展開をいろいろと模索していた中で、「『JK課』という知名度や広報的側面にばかり注目が集まると、いくらうまく進んでいても、その価値はあっという間に消費されていってしまうよ」という指摘をもらいました。そうです……、これは企画当初から懸念されていたことであり、僕自身も注意しなければならないと思っていたのでした。しかし、いざ話題があつまって注目が高まると、その「非日常的」な部分に意識を奪われてしまい、イベントやお祭りといった一過性の盛り上がりに、僕も含めてみんな浮かれてしまう……。そうではなく、この活動が地域社会や市民生活の『日常』にもたらす価値や意義を考えていかないといけません。