週5日勤務の「当たり前」がバカらしい

高校や大学を卒業したらすぐに会社員として勤務。週に5日働いて、2日だけ休む――。これが、これまでの日本で多数派の、いわゆる普通の就職です。さらに、雇用契約期間の定めのないいわゆる「正社員」になることが彼らの幸せなのだろうと、みんなが信じこんできました。企業も学生を正社員として採用できることが「最高のおもてなし」だと考え、それを最上位に設定し、組織運営がなされてきたわけです。

しかし最近は、正社員として組織に属すことをを必ずしも望まない若者が現れるようになりました。僕が取り組んでいる採用プロジェクトでも、さまざまな可能性を模索したいという理由から、あえて週3日だけの勤務を希望し、自由の効く契約社員としての就職を望んだ学生もいたり。詳しくは後述しますが、正社員という雇用形態(というのもなんら法的地位のないあいまいなものなんですが)やフルタイムという勤務形態が前提でみんなが幸せになれる、という時代ではないようです。

「ゆるい就職」WEBサイト

そこでつい最近、「週休4日で月収15万」、つまり週に3日働けば月に15万円もらえる!という実験的な就職サービスとして、25歳以下の若者を対象とした「ゆるい就職(http://yurushu.jp)」を始めてみました。

「ゆるい就職」を通じて僕が提案したいのは、カッコよく言えば、ワークスタイルの多様化とモラトリアムの見直しです。日本と同様に社会環境が成熟した北欧などの国々では、大学入学の平均年齢が22歳(日本は19歳)、新卒の平均年齢は28~29歳(日本は23歳)で、日本に比べてかなり高くなっています。彼らは、18歳で高校を卒業してから大学入学までの数年間、外国へ適当に遊びに行ったり、色んなアルバイトをしたりして時間を過ごします。多様な出会いや経験を通じて自分の興味・関心を探り、その上で大学に入って、その後30歳くらいまでに様々なかたちで就職する。

彼らにとって20代という10年間は、自分を模索するための試行錯誤の猶予期間、健全な「モラトリアム」なのです。日本の若者も、これまで「当たり前」だった就労モデルへの危うさやバカらしさに、そろそろ気付き始めてるんじゃないでしょうか?