「問題解決」にハマる女子高生たち
4月14日、女子高生が主体となるまちづくりプロジェクト・「鯖江市役所JK課」が正式にスタートしました。同日に行ったスタートアップ記者会見では、メンバーである女子高生(JK)たちが、慣れないながらも(あたりまえですが……)各々に参加動機や抱負などを語ってくれました。
僕は以前この連載で、「女子高生たちへの“上から目線”をやめて、彼女たちをリスペクトすることにこのプロジェクトの成功がかかっている」と書きましたが(連載第1回 http://president.jp/articles/-/12343 を参照)、記者会見での彼女たちの言葉は、そのことを改めて激しく痛感するものでした。そして僕を含む大人たちが、そこから多くを学び始めています。
JK課メンバーたちは、すでに地元のIT企業と組んで、オープンデータ(自治体が公開した地域の情報)を活用したスマホアプリの開発に携わっています。暮らしが便利になるようなデータの活用法を、市民目線で考えアイディアをふくらませていくのが彼女たちの役割です。
開発会議の最初に地元IT企業の社長が、「まずは、みんなが普段どんな悩みを持っているのかを話し合って、そこから必要なアプリを考えよう」と言ったそうです。ある女子高生はこの時のことをふり返って、「『悩みから入る』のが、すごい新鮮だった!」と話してくれました。
彼女たちがそう感じるのも無理はありません。というのも、普段学校の授業やプログラムでは学ぶことがほぼ全国規格的に決まっていて、多くの場合、先生から「これをやるべき」「あれを勉強するべき」と明確な指示を受け、定められた手法で最初から用意された「正解」にたどり着くためのトレーニングをしているわけです。その分野の素人である自分たちの多様な悩みや違和感を起点にして話し合い、決して一つではないその解決方法を色々と模索したり提案したりという機会なんて、まずありません。
彼女たちは今、この「問題解決」にハマっています。それは、大人が予め用意して「与えた問題」ではなく、彼女たち自身が「見出した問題」だからなのだと思います。それに、そもそも、大人や専門家なら正確に問題を把握できているという思い上がりがヤバいのです。そろそろ、そんな思い込みは捨てたほうがいいと思うのですが、いかがでしょうか。