投資を始めるベストタイミングは
60代で「貯蓄800万円」という数字は、一見少なめかもしれません。しかし、ご夫妻は退職金もなく、決して多いといえない給料から戸建てを買い、お子さん3人の教育費を、教育ローンや奨学金に頼らず自力で賄ってこられました。住宅ローンを除いては、一切の負債なくお子さんを独立させだけでも賞賛に値し、並々ならぬ努力の成果といえます。
ただ、もし毎月貯金していた800万円の一部を運用できていたら――。
仮に50歳からiDeCoで月2万円ずつ積み立て、年利5%で15年間運用できていた場合、それだけで500万円(積み立て額:計360万円)ほどの資産を築けていた可能性があります。月4万円であれば単純計算で1000万円近くにも(同720万円)。
とはいえ、65歳になった今、過去を悔やんでもしかたありません。もし投資に興味があるなら、なけなしの貯蓄を取り崩してではなく、どちらかが月数万円でも収入を得て、その一部を積立に回すという形が現実的でしょう。
仮に月5万円の収入が得られたなら、3万円は貯蓄に、2万円は投資に、といった配分であれば、虎の子の800万円に手をつけないまま、将来への備えを少しずつ積み増していくことができます。
この少しずつ積み増しというルーティンは現役世代も実践してほしいことです。特に、投資に興味があっても始めることに慎重な方は、「上がり相場で買うと、直後に下落して損するリスクがある」「今は下がり相場だから、上向きになるまで待とう」と、二の足を踏んでいる方もいるでしょう。
しかし積立投資においては、タイミングを計る発想自体があまり意味を持ちません。積立投資は下がった局面でも淡々と買い続けるものであり、長く続けるほど取得単価は平均化され、多少の高値づかみも誤差の範囲に収まっていくからです。大切なのは、「いつ始めるか」を迷うことよりも、「できるだけ早く」「長く続ける」ことなのです。
それにより、将来、なんらかの理由で年収が下がってしまっても、積み立てた投資により資産が築けていれば、生活水準を維持できることも多いです。年金生活に備え、現役時代にできることは、生活防衛資金を確保した上で、「1日でも早く」資金作りを始めることです。
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