コメ価格の高騰は何が原因なのか。元農水官僚で武蔵野大学国際総合研究所研究主幹の山下一仁さんは「JAはシェアが小さいため、価格への影響力も小さいという見方があるが、それは間違いだ。集出荷業者の集荷量に占めるJA系統の割合は93%に上り、コメ価格に大きな影響を与えている。農家と消費者の双方に負担をもたらす現在の仕組みを改める必要がある」という――。
JAの「本当のシェア」は何%なのか
「JAのコメ集荷シェアは4割程度まで低下したので、価格への影響力は小さい」。そんな見方がある。だが、JAのシェアには実は、44%、53%、93%という3つの数字がある。
違いは分母だ。では、コメの小売価格への影響力を考えるとき、どの数字を見るべきなのか。
令和5年産米の資料になるが、農水省が作成した「米の流通経路別流通量の状況(令和5年産米)」がわかりやすい。前稿で触れたように、令和7年産米も流通量の状況はほぼ変わっていない。
この資料によると、あられ・せんべいなどの「加工用米」や「もち米等」(74万トン)を除いた主食用米の生産量は643万トンである。集出荷業者の集荷量は300万トン、農家直売等が233万トン、農家消費(無償譲渡を含む)が110万トンとなっている。
このなかでJA農協は集出荷業者に該当する。集出荷業者の内訳は、JA全農などのJA系統は280万トン、「JA外の業者」にあたる全集連系は20万トンだ。図表1の欄外には、小さくて見にくいが、「注1:集出荷業者には、全集連系を含む(JA等への出荷量300万トンのうち20万トンが全集連系)」と書かれていることから算出できる。
改めてJA農協の割合(シェア)を確認しよう。生産量全体に占めるJA農協の割合は44%。農家直売等を含めた広義の流通に占めるJA農協の割合は53%。集出荷業者の集荷量に占めるJA農協の割合は93%となる。


