集荷は増えたのに販売は減った

マスコミ等は「消費が減少したから在庫が積み上がった」という説明をしているが、もしそうなら米価を下げて、在庫処分をするのが通常の商売なのではないだろうか。25年産米は高止まりを続け、スーパーでは25年産の古米より26年産の新米が安いという不思議なことが起こった。

因果関係はマスコミの説明とは逆なのではないか。

次の資料(図表2)を見ると、JA農協などの集荷業者は、過去2年に比べ、農家からの集荷量や卸売業者との契約数量を増やしている一方、実際に卸売業者に引き渡した販売数量は減っている。

全国の卸売業者や小売業者に販売される集荷全体270万トン(年間の玄米仕入数量が5000トン以上の調査対象者内)のなかで、JAは全農だけでも208万トンで、約8割と圧倒的なシェアを占める。そのJAが在庫を抱えても販売価格を下げない姿勢が、米価の高止まりを長引かせているのではないか。なお、高米価は高関税の下でも輸入(10万トン)を呼び込むことになり、意図しない在庫増加につながった面もある。

【図表】出荷業者の米の集荷・契約・販売状況の推移
令和7年産は前年よりも多く集荷しているのに、販売数量は前年よりも少ない(出典=農水省HP)

JA農協の在庫増加行動の前提に、農水省による備蓄米買戻しがあった(在庫を増やしても農水省は買い取ってくれる)と考えれば整合性がとれる。だが、物価高対策を理由に高市官邸は買戻しに難色を示した。在庫が積み上がったままでは高い概算金を農家に払っている25年産米を投げ売りしなければならなくなるので、JA農協は自民党農林族を突き上げ、買戻しに抵抗する高市官邸を黙らせたのだろう。

JA農協は、表向き、食料安全保障のために100万トンの備蓄水準へ回復すると主張しているが、備蓄米買戻しが米価下落防止対策だということは、明らかではないだろうか。民間在庫がジャブジャブで相当な不作が起きても供給には不安がない時に、コメを買い入れる必要はない。

買戻し価格は非公表

私は以前の記事で、農水省が備蓄米を買い戻すのは、価格が低下して財政負担が少なくなる26年産米だろうと予想した。これが市場介入する際の常道だからである。

しかし、今回は史上最高の米価となった25年産米を買い入れるという。実際にはいくらで買い戻したのだろうか。

昨年の江藤米放出では落札価格を公表した農水省が、今回は8業者と21万トンの買戻し契約を結んだと発表しただけで、肝心の買戻し価格は明らかにしていない。