ネット上の人気キャラクターを活用して顧客を動かす

現下、ソーシャルメディアは百花繚乱のコラージュといった様相を呈している。それらを的確に選別し使いこなして日本最高レベルの成果を収めている企業が、コンビニチェーンのローソンである。同社は、LINE、フェイスブック、ツイッター、Google+など27にも上る著名なソーシャルメディアに公式アカウントを持ち、その会員は昨年末時点で実に1500万人を数える。

日経BP社が、13年2月に公表した「ソーシャルメディア売上ランキング」では、スターバックス、ユニクロ等をかわして堂々1位の座を獲得し、その成果の高さを示している。同社はなぜ、このような好結果を得ているのであろうか。


「あきこちゃん」のフォロワーに向けて常にさまざまなキャンペーンが企画されている(画像は昨年配布のスタンプ)。

上記のような夥しいまでの会員数の大半を占めるのは、LINEの「お友達」である。その数は1160万人と、全体の8割弱を占めている。この莫大な数の会員数の獲得に大いに貢献したのが、「ローソンクルー♪ あきこちゃん」(以下、「あきこちゃん」)である。LINE上ではこの魅力的なキャラクター「あきこちゃん」のスタンプが出るたびに、「お友達」の数が激増し、昨年末までに4回スタンプの発信を行っているが、そのたびに平均で200万人もの「お友達」が増えたという。まさに「集客」の目玉が「あきこちゃん」なのだ。

「彼女」は10年4月1日、ツイッターに登場した。誕生の経緯についてこのキャラクターの生みの親であるローソン広告販売促進企画部マネジャーの白井明子氏はこう語る。「企業のアカウントですと、アイコンといわれるところに多分企業のロゴを入れることになると思います。しかしそれだといかにも企業からの発信というように見えて、硬いかなと思いました。そこであえてキャラクターを立てたいということを会社に提案したのです」。

「あきこちゃん」はプロフィール上、ローソンでアルバイトをする20歳の大学生で、毎日ローソンの「今」についてフォロワーにメッセージを伝える存在である。興味深いことに、ツイッターに初登場した際には後ろ向きの姿で、顔が見えなかった。どんなキャラなのかベールに包まれていたのだ。