経営陣のほぼ全員が週に1回、在宅勤務をしている

日本の正社員は「三無(さんむ)」といわれる。仕事内容が選べない。勤務地が選べない。勤務時間が選べない。そして、肩を並べて働くのは、似たような学歴で、似たような主義主張の日本人男性ばかり……。このパターンは、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」といわれた時代には向いていた。当時は、特にイノベーションを起こさなくても、欧米が先に開発したものを真似していればよかったし、消費者も「三種の神器」など、決まったモノを欲しがった。だから、同質集団が大量生産で一気にモノづくりする強みが生きた。

ところが、今の市場はそんなに単純ではない。先進国の消費者ニーズは多様化する一方で、新興市場には眠れるニーズが埋もれている。それらを、他社に先駆けて掘り起こすには、国籍や性別を問わない多様な人材が感度を発揮する組織運営が必要だ。だからこそ、今、各社でダイバーシティ(多様性)が重要な経営戦略の一つになっている。そして、ダイバーシティを実現するには、社員一人一人の置かれた状況や生き方に寄り添った「柔軟な働き方」を推進することが欠かせない――。