自分の身体で体得することが一番大事

上村さんによれば、修験道の基本は「実修実証」。「自分で修行して自分でそれを証明する。自分の身体で体得することが一番重要だということです」。体験という意味では、毎年3月第2日曜日の「高尾山 火渡り祭」もいい機会だという。「野外で行われる護摩行のあとで、一般の方も修験者につづいて火を渡ることができます」。

毎年3月第2日曜日に行われる「高尾山 火渡り祭」
毎年3月第2日曜日に行われる「高尾山 火渡り祭」(写真=KQuhen/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

このほか、よりディープな体験を志望する方には、年2回、6月と10月に行われるという「信徒峰中修行会」(高尾山全体を道場として、1泊2日の行程で先達とともに山伏の修行を実践する)もあります。

また、一部でひそかに人気を集めているのが、「高尾山の滝行」。山内には古来より修行の場だったとされる滝がふたつあり、初心の方も予約・申し込みをすれば古式の入瀧作法などを指導していただけます。

高尾山の登山ルートはいくつもありますが、聖域として高尾山および飯縄大権現へのアプローチもまた、いろいろな機会、方法があるようです。

まずはお山に登り、薬王院に参詣するのが第一歩。そこから一歩踏み出して護摩祈祷や火渡り祭に参列し、お札を頂戴すれば、飯縄大権現が目に見える形であなたの日常に入ってきます。さらに、体験修行に参加すれば、身体を通じて飯縄大権現との縁をより深めることになるでしょう。

ともあれ、東京および近郊の在住者にとって、思い立ったらすぐ日帰りできる修験の山があるのは、ある意味恵まれた環境です。ですので、できればこの“曼荼羅の山”に鎮まるスーパーなご本尊とも出会っていただきたい。筆者はそう願ってやまないのです。

*上記の護摩修行のスケジュールや体験修行の詳細は、高尾山薬王院公式サイトの「御護摩祈祷」や「各種体験修行」、「水行道場」などをご参照ください。

DATA:
高尾山薬王院有喜寺

【諸堂と本尊】
大本堂:開山本尊・薬師如来、中興本尊・飯縄大権現
本社(権現堂):飯縄大権現
奥之院不動堂:不動明王
神変堂:神変大菩薩(役小角)
大師堂:弘法大師
愛染堂:愛染明王
聖天堂:歓喜天(聖天)
弁天洞:弁才天
浅間社:浅間大菩薩
ほか

【ご由緒】
天平16年(西暦744年)に、聖武天皇の勅令により東国鎮守の祈願寺として、高僧行基菩薩により開山。薬王院の名は創建当初、薬師如来をご本尊とした事に由来。現在は真言宗智山派の大本山として、「成田山新勝寺」「川崎大師平間寺」とともに三大本山として知られる。

南北朝時代の永和年間(西暦1375年)に、京都醍醐山より俊源大徳が入山。8000枚の護摩供養秘法の後、今のご本尊「飯縄大権現いづなだいごんげん」を奉祀し中興。戦国期、飯縄大権現は戦国武将の守護神として崇敬され、上杉謙信や武田信玄の兜表にもまつられ、また北条家の手厚い保護も受けた。江戸期に入ると徳川家(特に紀州家)との仏縁により隆盛をむかえる。

【授与品】
御護摩札(御護摩修行を行った方に授与)各種、御守(各種/勝運守、護身鏡守、護摩炭厄除守、浄銭守ほか)

【鎮座地/交通】
東京都八王子市高尾町2177
京王電鉄「高尾山口」を下車、徒歩6分で高尾登山ケーブル(「清滝」から「高尾山」乗車6分)へ、下車して徒歩約16分ほどで薬王院に到着。
高尾山口駅から徒歩で薬王院に向かう場合、すべて舗装されている表参道(1号路)を使って約70~80分。

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