首相官邸に「社食」はない
参与室の片付けもほぼ終わり、いつでも部屋を引き払えるよう準備が整った。部屋がすっきりすると、「永田町での生活もこれで終わりか」という実感が湧いてきて寂しいが、お盆休みに地元の長野へ帰って今後のことをゆっくり考えようと思っている。
さて、今回の特集は『食事術』ということで、私も食事にまつわる話をしようと思う。
私はいつも、朝食は自宅でサンドイッチやおにぎりなど軽いものを食べてから首相官邸へ向かい、昼食は官邸で食べ、夜は自宅へ帰って妻の手料理をいただいている。特別なことはしておらず、読者の皆様とあまり変わらない食生活ではないだろうか。
自宅で食べる朝食と夕食はともかく、官邸の食事がどんなものか、気になるかもしれない。グーグルのような巨大IT企業には、無料の社員食堂があるようだが、残念ながら官邸の食堂は有料で、みんな自腹で昼食をとっている。
私がよく食べるのは、680円の「ざるうどん」だ。ざるに入った2玉のうどんに、ネギとショウガのついたシンプルなメニューである。ちなみにうどんが1玉の場合は450円だ。大手うどんチェーンの『丸亀製麺』ではざるうどんの並(1玉)が420円、得(2玉)が780円であることを考えると、特段安いわけではない。官邸だからといって、特別扱いされているわけではないと思う。
そして「かつ丼」もたまに食べる。こちらはみそ汁とお新香がついて980円。卵がたっぷり使われており、カツも大きくお得感があるが、昼食にはボリュームがありすぎる。本当にたまにしか食べない。基本的にはあまり時間をかけずに食べられるざるうどんばかり食べている。
おそらく本誌初公開となる、首相官邸食堂のかつ丼(お茶は別売り)。かなりボリュームがあり良心的だが、時間に追われる人の多い官邸ではあまり人気のあるメニューではなさそうだ。飯島氏も「たまにしか食べない」とのこと。
私はうどんが好きだが、永田町で最も食べられているメニューは「カレーライス」だろう。カレーライスはおかずに相当するルーとご飯をスプーンで同時に食べるうえに、よく噛んで食べる必要がある具も入っていないから、定食よりも早く食べ終わる。それにご飯にルーをかけるだけで出来上がるから、待ち時間が極めて短い。そういう理由から、常に時間に追われる永田町ではカレーが人気メニューだ。
次点はやはり、そばやうどんなどの麺類。菅義偉元首相などは若いころからそば好きで知られており、総理になってからも麺類を多く食べていた。そして頼むのはもりそばやざるそばが多かったようだ。やはり、温かいそばだと食べるのに時間がかかるからだろうか。そういう意味では、ざるうどん好きな私も親近感を覚える。
安倍晋三元首相が肉好きなのは有名な話で、昼も夜もステーキをリクエストするということは珍しくなかった。「首相の食べるステーキ」というと、いかにも豪華なコース料理を想像してしまうが、やはり時間の関係でコース料理が出てくるようなことはない。ステーキとご飯(もしくはパン)、ポタージュにサラダが一度に出てくるスタイルが多く、「ステーキ定食」に近い形だった。
ちなみに安倍元首相は公邸に住んでいたが、公邸に料理人は同行させず、ケータリングなども呼ぶことはなかった。つまり、単身赴任のサラリーマンと同じで夜はすべて外食で済ませていたようだ。もちろん、ひとりで外食するわけではなく誰かを誘っての「会食」がメインだ。ここだけを見ても、人付き合いがよく顔の広かった安倍さんの人柄がわかる。
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