「フジテレビの提案で本当に大丈夫か」
目下大変なことになっている猪瀬直樹都知事の徳洲会貸し金問題に横波を受けつつも、粛々と足場固めが進む『お台場カジノ』。もともとは2011年に国際戦略総合特区としてフジテレビを擁するフジメディアホールディングス(FMH)が三井不動産や鹿島と共同で提案してきたものでした(※1)。過去に何度も噂になっては沙汰止みを繰り返してきたカジノ法案を、安倍晋三首相を最高顧問とする国際観光産業振興議員連盟(細田博之会長・通称カジノ議連)がバックアップ。首相自らも、標榜するアベノミクスが推進する経済対策三本の矢の一角として、一連のIR(統合型リゾート)推進法案、平たく言えば「カジノ法案」が成立するとの期待が高まってきたわけです。
他にも、長崎県のハウステンボスを中心とした構想や、大阪府、宮崎県、宮城県など全国20カ所以上の自治体と地場観光業を中心としたプロジェクトが立ち上がってはおりました。これらに先行する形で東京の『お台場カジノ』構想が進んだ背景には、前都知事であった石原慎太郎さんが産業振興策としてカジノ産業の立ち上げを強力に積極的に後押しする姿勢から多くのアミューズメント産業、エンターテイメント産業が期待感を集めてきたことがありました。
一時期は、石原慎太郎さんの三男・石原宏高さんが、アメリカのカジノ産業と近しい関係にあったユニバーサルエンターテインメント(旧アルゼ)との不適切な関係を取り沙汰され、告発したロイターなどの報道機関とは現在もなお裁判が続いている案件が影を落とす場面もありました。また、猪瀬さんの問題を巡っては、霞が関でも「猪瀬さんと極めて関係の近いFMHにカジノを担わせて大丈夫か」という心配が頻繁に聞かれます。まるでカジノに関わろうとする個人や企業体が悉くスキャンダルに見舞われるのは何かの陰謀でもあるのではないかと邪推してしまうほどにいろんな事件が発生します。