シャリに照りを出し、米ふっくらの調味料
次に、塩です。
塩は目立たない存在ですが、シャリの味を成立させる上で欠かせない役割を担っています。使われる塩は店によってさまざまですが、溶けやすさ、ミネラルの含有量などが考慮されます。
これらの違いが、口に入れた瞬間の味の立ち上がりや、後味に影響します。一方で、すし酢の主役はあくまでも酢であり、塩にはそれほどこだわらない場合もあります。
次に砂糖です。
砂糖は、寿司のシャリにおける甘みについて果たす役割大きいところですが、単に「甘くする」ためのものではありません。酸味や苦味を和らげ、味に丸みを持たせ、全体をなめらかにつなぐ役割も果たします。
砂糖を使うことでシャリに照りが出て、酢の酸味が角張らず、米もふっくらと仕上がります。また、デンプンの老化を抑える効果があるため、シャリの状態を保ちやすくなるという実用的な側面もあります。
こうした理由から、砂糖が広く流通するようになった1950年代以降、多くの寿司屋で砂糖が使われるようになりました。
一方で、砂糖を使わないという選択をする店も少なくありません。すし酢はもともと酢と塩のみで作られていたという歴史に立ち返り、あえて甘みを加えないことで、シャリをよりシャープに仕上げるというその判断がなされることもあります。
寿司を成立させるための身近な調味料
なお、上白糖や三温糖、きび砂糖など、私たちが日常で使うオーソドックスな砂糖が使われる場合が多いようで、特殊な砂糖を用いる話はあまり聞きません。
塩もそうですが、すし酢の主役はあくまでも酢であり、酢にはこだわりつつも、すべてにこだわっていてはバランスが崩れてしまうということなのだと私は解釈しています。
また、回転寿司などの大規模な業態では、酢の納品業者が使う米に合わせてすし酢を調合・調整し、大ロットで納品することが多いようです。
寿司は、ネタと米だけでは成立しません。それをつなぐ、酢・塩・砂糖は、どれも、身近な調味料でありながらも、寿司を成立させるための重要な役割を担っています。


