たとえ話で嫌われる人と好かれる人

上手にたとえ話ができれば、複雑な内容もすんなり理解してもらえます。

しかし、たとえ話で嫌われる場合もあります。それは、難しくたとえてしまったり、一部の人しかわからないようなマニアックなものにたとえてしまったりする場合です。

たとえ話の本質は、相手が想像しやすい身近なものにたとえることです。

藤本梨恵子『なぜか惹かれる人の話し方 100の習慣』(明日香出版社)

①「犬に噛まれたときのように驚いた」
②「ピラニアに噛まれたときのように驚いた」

①は多くの人が経験していますが、②は特定の人しか経験しません。より多くの人が経験していること、知っていることにたとえなければ伝わりません。

「たとえツッコミ」が上手な芸人さんは、誰もが想像できる言葉でツッコむから笑いがとれるのです。

早朝のメールに「こんな朝早くから、イカ釣り漁船の漁師か!」とツッコむ。「面倒見きれないような相方とよくやってますね」と言われたら、「ええ、だから、俺、国民栄誉賞をいただきたいです」と返すなど、多くの人が共感できる言葉を選びます。

たとえ話ができる人は好かれる

実は、先ほどご紹介したたとえ話をつくる3ステップは、話し上手になるための複数の能力の組み合わせでできています。

①一番伝えたいこと=本質は何かを考える(主訴を考える)

これは、普段から相手の話を傾聴することで養われます。

相手が一番言いたいことは何かを常に考え、主訴をひと言で言えるように練習すると、主訴を聞き取る傾聴力・ひと言にまとめる要約力・簡潔に伝える発信力が身につきます。

②その本質と共通する要素を洗い出す(抽象度を上げる)

複数の事柄に共通する要素を見つけるためには、様々な人の立場で物事を考えるので、視野が広がり、問題解決能力も上がり、他者への共感力も高まります。

③共通要素を、聞き手にとって一番身近なもので表現する(聞き手を理解する)

相手に心の矢印が向いていなければ、相手が何を一番身近に感じるか知ることができません。だから、相手に関心が向き、他者理解が進みます。

たとえ話ができる人は、相手の気持ちがわかり、それを言葉で表現できるので、好かれます。

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