相手を不快にさせない話し方とはどのようなものか。カウンセラーの藤本梨恵子さんは「悩んでいる相手に対して自分の意見や感想を反射的に発することで、ときに相手を傷つけてしまうことがある。センシティブになっている人には、意見や感想ではなく、常に現在進行形で相手に寄り添い、相手の言葉を繰り返すのが一番だ」という――。

※本稿は、藤本梨恵子『なぜか惹かれる人の話し方 100の習慣』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

クライアントの手を握る
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「Iメッセージ」を使えば相手も自分も不快にならない

相手も自分も尊重するアサーティブな会話方法の1つに、「Iメッセージ」があります。自分を主語にした話し方です。

反対に、相手を主語に話すことを「Youメッセージ」といいます。

Youメッセージは相手を批判しているように聞こえますが、Iメッセージは自分の気持ちを伝えているだけにとどめることができます。

それぞれ、次のようなイメージです。

Youメッセージ:「(あなた)大きな声出さないで!」
Iメッセージ:「(私は)大きな声で話されると怖くなるので、冷静に話してもらえる?」

Youメッセージ:「(あなた)メモをとってください!」
Iメッセージ:「(私は)メモを取ってもらえると安心して話せるので、メモをとってもらえますか?」

たとえば、帰宅が遅れた家族に、「帰りが遅くなるときは連絡ぐらいしなさいよ!」とYouメッセージで攻撃的に言っても、相手から反省を引き出すことは難しいですよね。おそらく、お互いに不機嫌になって終わりです。

そこで、協力が欲しいときに事前に知らせる「予防のIメッセージ」が有効です。

「私はあなたの帰りが遅くなると、何かあったんじゃないかと心配になるの。だから遅くなりそうなときは連絡もらえるかな?」

と事前に伝えておけば、相手も協力しようという気持ちになります。

また、自分の怒りに触れるような行動については、雑談の中で、

「私、遅刻する人が苦手で……、相手の時間を奪っていることを考えられていない。つまり、私のこと大切にしてくれてないって思っちゃうから」

と伝えておくと、空気が読める人は、言われなくても注意するようなります。

不機嫌になったり喧嘩になったりするのは、お互いにしんどいものです。

だからこそ、言いたいことはIメッセージを使って、相手も自分も不快にならないように伝えることが大切です。