悩みごとに感想を言わない

相手の地雷を踏みやすいのは、相手が悩んでいるときや、元気がないときのひと言です。

ご主人を亡くした女性「毎日、悲しくて泣いてご飯も食べられないの……」
友人「でも、元気出して、無理してでもご飯は食べなきゃ!(自分の意見)」

ご主人を亡くされた女性は「自分が同じ立場だったらどう思うのかな? そんなことを言うくらいなら一緒に泣いてくれたほうがよほど救われる……」と言いました。

励ましたつもりが、目の前の人の悲しみに寄り添えていなかったのです。

人は、「気にするな」「元気出して」などと正論で励まされるより、痛みに寄り添ってもらえたほうが癒やされます。

この場合、「悲しいよね。ご飯も食べられていないんだね……」と共感すれば、相手は気持ちを受け止めてもらえたと感じ、安心します。

悪気のない感想でも相手を傷つけることがある

他にも、よかれと思って言ったことがひんしゅくを買うケースもあります。

母親「子どもが不登校で、家で暴れて、壁に穴を開けたりして……」
友人「そんな状態はひどい! 私なら気が狂ってるわ!(自分の感想)」

これは、共感したつもりで「私の置かれている状態ってそんなにひどい?」と相手の感情を煽り、不安にする不用意なひと言です。「不登校で、暴れるんだね」と相手の言葉を繰り返すと、変に不安を煽ることもなく、相手も本音を話しやすくなります。

私「抗がん剤治療は治療費が1カ月10万円くらいかかるみたいで……」
知人「え、高っ!(自分の感想)」

友人は悪気なく金額だけを聞いて高いと言っただけですが、癌患者にとっては治療費=命の値段です。では、私は1カ月いくらの治療費なら生きていいのだろうと感じました。これも「治療費がかかるんだね」と繰り返すだけでよかったのです。

どの会話も悪気はないのですが、悩んでいる相手に対して自分の意見や感想を反射的に発することで、相手を傷つけています。

不機嫌な女性二人
写真=iStock.com/SunnyVMD
※写真はイメージです

センシティブになっている人には、意見や感想ではなく、相手の言葉を繰り返すのが一番です。常に現在進行形で相手に寄り添うことが大切です。