おいしいフルーツを見分ける方法はあるのだろうか。15年間ご飯、パン、肉、魚などを断ち、水やお茶も飲まず、実験的にフルーツ中心の食生活を続ける中野瑞樹さんの書籍『中野瑞樹のフルーツおいしい手帳』(河出書房新社)より、温州ミカンの解説をお届けする――。

温州ミカンの健康効果が見直されつつある

昭和時代、コタツを囲み、テレビを観ながら温州ミカンを食べるのが冬の風物詩だった。

最も多かった1975年と比べると、2021年現在で出荷量は8割減少した。しかし、近年の研究で、温州ミカンに特徴的に多いβベータクリプトキサンチンなどの機能性が明らかになり、温州ミカンの健康効果が見直されつつある。

皮をむいたミカン
写真=iStock.com/taka4332
温州ミカンの健康効果が見直されつつある(※写真はイメージです)

温州ミカンは、400年以上前に鹿児島で生まれたと考えられており、海外ではサツマオレンジと呼ばれる。受粉しなくても結実するため、ほぼ種が入らず、また手で簡単に皮がむける。テレビを観ながらでも食べられるので、欧米ではTVオレンジとも呼ばれる。

実は115品種もある

栽培方法は、露地栽培とハウス栽培がある。また、収穫後に1カ月以上貯蔵して熟成させた蔵出しミカンもあり、1年を通じて温州ミカンが販売されている。

栽培品種は多く、農水省の2020年度の統計に記載された栽培品種だけでも、温州ミカンは115品種ある。

栽培面積のトップ3は、宮川早生、興津早生おきつわせ、青島温州。ただし、温州ミカンはリンゴなどのように品種名で売られることは少なく、たいていは地域ブランド名で販売される。