※本稿は、中村尚人『逆腹筋の教科書 人体の構造的に正しい腹筋運動の新標準』(KADOKAWA)の一部を抜粋・再編集したものです。
なぜ「ぽっこり」飛び出てしまうのか
「どうしたら、お腹を凹ますことができますか?」
これは、私の運営するピラティススタジオやヨガクラスで、そして取材に来られるメディアから、数えきれないほど聞かれる質問です。私が理学療法士からヨガ、ピラティスの指導者に転向してから早13年。その間、毎年のように繰り返されるのですから、どれだけ多くの方が「ぽっこり腹」に悩んでいるのかがうかがえます。
「お腹を凹ませたい」「くびれたウエストが欲しい」という方にとってぜい肉のない平らなお腹は、まさしく「カッコいいカラダ」「美ボディ」の象徴であり、永遠の憧れなのでしょう。
そもそも、私たちのお腹は、なぜ、ぽっこりと前に飛び出してしまうのでしょうか?
一つは食べ過ぎや運動不足によるエネルギー過多です。
摂取カロリーが消費カロリーを上回ると、余ったエネルギーが皮下脂肪や内臓脂肪として体に蓄えられてしまいます。この場合、お腹をすっきりさせるための対策としては、脂肪を減らす必要があるので、食事のコントロールが主体です。
そして、もう一つが「重力による押しつぶし」です。
「お腹、使えていないのでは?」が8割
実は、現代の日本人のぽっこり腹の根本的な問題は、この「押しつぶし」に潜んでいます。
もともと人間の体は、直立姿勢を支持する筋肉たちが自動的に働いています。これらの筋肉は「重力に抗う筋肉」と書いて、「抗重力筋」と言います。そして腹筋群も、直立姿勢を支える抗重力筋の一つであり、背中やお尻、脇にあるほかの抗重力筋と協力しながら、姿勢を支えています。
ところが、長年、文明の利器に頼る生活を送る間に、大変多くの方はすっかりお腹の筋肉を使わなくなってしまいました。
筋肉は使わないと、どんどん落ちていくという性質があります。お腹の筋肉も例外ではありません。使わなければみるみるうちに細く、弱くなっていき、抗重力筋としての力も失われてしまうのです。
私は職業柄、つい道行く人の体にも目が行きますが、実に約8割の人がお腹が使えていないのでは? と感じるのです。


