告示前に行われた「情勢調査」から見えてくるもの
6月20日に告示された東京都知事選。現職の小池百合子氏と民進党代表などを歴任した前参院議員の蓮舫氏の対決が焦点となっているほか、ネット上で人気を集める前安芸高田市長の石丸伸二氏がどこまで支持を伸ばすのかに注目が集まっている。
永田町では自民党が告示前に実施した情勢調査が出回っており、その内容から選挙戦の今後の行方も浮き彫りになってきた。
筆者が入手した自民党による情勢調査は、投票先として「小池百合子」「蓮舫」「石丸伸二」「その他の候補者」「わからない・まだ決めていない」を挙げ、6月1~2日、8~9日、15~16日の3回にわたって実施。
その結果、1~2日は小池氏が43.1%の支持を集め首位となり、蓮舫氏が33.0%と続き、石丸氏8.1%、その他6.6%、わからない9.2%となった。
同じく8~9日は小池氏40.3%、蓮舫氏34.6%、石丸氏9.7%、その他6.4%、わからない9.0%。
15~16日は小池氏43.6%、蓮舫氏32.1%、石丸氏8.3%、その他7.8%、わからない8.2%となっている。
どの時点でも小池氏がトップとなっているが、8~9日は蓮舫氏との差が5.7ポイントにまで縮んでおり、逆転可能性が考えられる情勢となっている。
国民民主党の支持者の投票先が割れている
さらに情勢調査では支持政党別の投票先についても集計されているのだが、そこからは今後の情勢を左右すると見られる要因について分析することが可能だ。
小池氏は自民党、公明党、国民民主党東京都連が自主的な支援を表明しているが、実際に自民と公明の支持者のそれぞれ約8割が小池氏を支持している一方で、国民民主の支持者は約4割の支持にとどまっている。
そして、立憲民主党、共産党、社民党が支援している蓮舫氏は、3党の支持者のそれぞれ約7割の支持を集めているが、国民民主からも35%の支持を集めているのだ。
つまり、国民民主党の支持者は小池氏を支持するか、蓮舫氏を支持するかで割れている状況となっている。
国民民主党と言えば、日本最大の労働組合の中央組織「連合」の中でも、民間企業系の労働組合が中心となる「同盟系」によって支えられている政党だ。
民間企業は政府の経済政策によって業績が左右される可能性があるため、国民民主は自民と協調路線を取ることもあり、民主党系の中でも政治的にはやや保守的な立場になる。
また、連合は経営陣と協力して会社の利益を上げ、その中で労働者の待遇を改善していこうとする「労使協調」の路線を取るため、資本主義から共産主義への転換を訴える共産党とは相容れず、共産との選挙協力も忌避する傾向にある。