「面倒だな……」とつい後回しにしてしまう「経費精算」。締め切りギリギリに慌ててやると、入力ミスや請求漏れが起きやすくなります。雑務はできれば短時間でミスなく終わらせたいものです。そんなときは、「ハイカカオチョコレート」を食べて集中力を高めましょう。自律神経に作用して脳やからだをリラックスさせる働きもあります。

大脳皮質を刺激して集中力を高める

交通費を使った日の行き先や目的を何カ月もさかのぼって思い出したり、何十枚もの領収証を処理したりと、経費精算は溜めると大変です。やらなければならないけれど優先順位の低い業務なので後回しにして、締め切りギリギリになりがちという人も多いでしょう。ササッと済ませてしまおうと急いでやると、入力ミスや請求漏れが起きたりします。引き出しの中にかなり前の領収書が残っていて、「あ~損した」なんて経験は誰でもありますよね。

請求し直せばいいのですが、上司の承認をもう一度取るのも気が引けます。「忙しいのにまた経費チェックをやらなきゃいけないの。勘弁してよ……」なんて声が聞こえてきそうです。

そうならないように、経費精算は短時間でミスなく済ませたいもの。集中力を高めてくれる「ハイカカオチョコレート」を食べて、作業効率を上げましょう。

カカオの学名は「テオブロマ・カカオ(Theobroma cacao)」。ギリシャ語で「神様の食べもの」を意味し、かつては生産量が少なかったため、王族や貴族、兵士などの特権階級だけに許された食べものでした。カカオをすりつぶした「チョコラトル」という飲みものは薬とされ、兵士が疲れたときにも飲んでいたようです。

実際、カカオに含まれるテオブロミンは、大脳皮質を刺激して集中力や思考力を高めたり、自律神経に作用して脳やからだをリラックスさせたりする働きがあります。ただし、効果は長続きしません。1時間程度の集中力アップに適していますから、経費精算にはちょうどいいですね。もちろん、短時間集中でサクッと片づけたい仕事なら、経費精算以外にも適していますよ。

ハイカカオチョコレート。カカオに含まれるテオブロミンは、大脳皮質を刺激して集中力や思考力を高めたり、自律神経に作用して脳やからだをリラックスさせたりする働きがある。

認知機能を高めるカカオポリフェノール

カカオに多く含まれている「カカオポリフェノール」は、抗酸化力が高く、老化の原因となる活性酸素からからだを守ります。活性酸素は、動脈硬化やがん、生活習慣病など、さまざまな病気の原因になると考えられています。カカオポリフェールには、この活性酸素を消去してくれる作用があります。

さらに、食品メーカーの明治と愛知県蒲郡市、愛知学院大学によって行われた実証実験で、カカオポリフェノールを摂取することによって、アルツハイマー型認知症や記憶・学習などの認知機能と関連性が報告されているBDNF(脳由来神経栄養因子)が増えることがわかりました。

BDNFは、神経細胞の発生や生存、機能に不可欠な栄養素。神経細胞や神経伝達物質を作り出すなど、脳にとってはとても重要と考えられています。また、65歳以上になると加齢とともにBDNFが減少することも知られています。

カカオの含有率70%以上がハイカカオチョコレート

このようなカカオの栄養素を手軽にとれるのが「ハイカカオチョコレート」です。最近の健康志向を反映し、消費量は増えています。アスリートもハイカカオチョコレートを日常的に食べています。健康効果が魅力であるのはもちろん、「香りや苦みが好き」という人が多いようです。

チョコレートは次のような工程で作られます。まず収穫したカカオの実を5~7日間ほど熟成発酵させます。その後、乾燥して貯蔵(この工程までが産地で行われ、その後各地へ輸出される)。カカオ豆に150度ほどの熱を加えて焙煎し、皮を取り除いてすりつぶし、ペースト状(カカオマス)に。それにバターや砂糖、乳製品などを加えたものがチョコレートです。

カカオ豆が生育するのは赤道南北20度に位置する亜熱帯で、この一帯は「カカオベルト」と呼ばれています。産地によって「クリオロ種(南米)」「フェラステロ種(西アフリカ・東南アジア)」「トリニタリオ種(中南米・ベトナム)」という3つの品種があります。

さて、あなたが食べているものは“本当の”チョコレートでしょうか。一般に、チョコレートはカカオの分量などによって次のようにおおまかに分けることができます。

(1)チョコレート

カカオ分が35%以上、あるいはカカオ分が21%以上で、カカオ分と乳固形分の合計が35%以上のチョコレート生地を全重量の60%以上使用したもの。

(2)準チョコレート

カカオ分が15%以上、あるいはカカオ分7%以上、かつ乳固形分12.5%以上の準チョコレート生地を全重量の60%以上使用したもの。

(3)チョコレート菓子

チョコレート生地が全重量の60%未満で、ナッツやビスケットなど他の食材と組み合わせたチョコレート加工品。

一般的に、本当のチョコレートとは(1)だけを指し、(2)と(3)はチョコレート的なものです。

ハイカカオチョコレートには、はっきりとした定義はありませんが、一般的には「カカオの含有率が70%以上」のものがハイカカオとされることが多いようです。カカオ含有率はパッケージに表示されているので、よく見てから選びましょう。

また、ほかの原材料もよく確認してください。口あたりをよくしたり、保存性を高めたりするため、植物性油脂や乳化剤などの添加物が入っていることがあります。こうした添加物が多いと、アレルギー反応が出る可能性もあります。

疲れたときの「甘いもの」は一時しのぎにすぎない

「脳が疲れたときには甘いものを」とよく言われますが、おすすめできません。たしかに、一時的には頭がすっきりするかもしれませんが、急激に上がった血糖値は急激に下がり、しばらくすると集中できない元の状態に戻ります。つまり、一時しのぎにすぎない、ということです。

そしてまた、血糖値が下がると甘いものがほしくなり、白砂糖がたっぷり入ったスナック菓子で血糖値を上げ、下がるとまたスナック菓子に手が伸びる――こうした砂糖依存ともいえる悪いスパイラルを続けると、イライラや不眠につながったり、疲れやすくなったりします。思い当たる人はすぐにやめましょう。

コーヒーとの組み合わせでより効率アップ!

経費精算のように短時間で片づけたい仕事のときは、コーヒーを飲みながらハイカカオチョコレートを食べるのもおすすめです。

ご存じのように、コーヒーはカフェインの覚醒作用によって、脳をすっきりさせて集中力を高める効果があります。つまり、ダブルの効果で仕事がよりはかどるというわけです。コーヒーの香りにはリラックス効果もあり、疲れを癒してくれます。

ただし、ハイカカオチョコレートは普通のチョコレートよりも脂質が多いため、食べ過ぎると肥満の原因になってしまいます。苦み成分のテオブロミンも前述したように良い効果がある一方、過剰に摂取すると利尿作用や興奮作用を高めてしまいます。適量を食べて、面倒な作業の効率アップに役立てましょう。

 

(構成=河合起季 撮影=宇佐美雅浩(石川先生)、榊智朗(食品))