取引先の開拓・深耕に欠かせないツールが「営業資料」です。その出来具合は目標達成や評価にも大きく影響してきます。営業担当者は、たとえ外回りで疲れていても、渾身の力を振り絞って営業資料をつくっていることでしょう。そんなときの頼れる味方となってくれるのが「グレープフルーツ」です。集中力を高める効果があるほか、さわやかな香りの成分が心を明るくし、からだにも活力を与えてくれます。

さわやかな香りが心をリラックスさせる

顧客である企業が抱える課題や悩みを把握し、そのソリューションとして自社の製品・サービスの利点をわかりやすく伝えるのが、営業資料の目的です。どれだけ効果的にアピールできるか、顧客の興味や関心を喚起できるかが営業の成否を分ける重要なポイントになります。また、最近はオンライン商談が増えています。対面に比べてコミュニケーションが取りづらいこともあり、提案内容などをわかりやすく伝える営業資料の重要性がより高まっています。

その出来具合は目標達成や評価にも大きく影響してきますから、自ずと営業資料づくりには気合が入ることでしょう。「さあ、これから取りかかるぞ!」というときには、集中力を高めるのに効果的な柑橘系の果物、特に「グレープフルーツ」がおすすめです。オフィスでは食べにくいなら、「グレープフルーツジュース」でもかまいません。

グレープフルーツの学名は「Citrus paradisi」で、「paradisi」は「楽園」という意味。楽園のような幸せな香りがする果物ということで名づけられました。とてもよい香りなので、アロマや香水、コスメなどにもよく使われています。

さわやかな香り成分のリモネンには、リラックス効果があり、心を明るくし、からだにも活力を与えてくれます。しぼったジュースよりも果実そのもののほうが香りが立つのでおすすめです。皮ごと半分に切って、スプーンですくって食べましょう。

グレープフルーツのもう一つの香り成分、ヌートカトンにはダイエット効果もあります。香りが交感神経の働きを活発化し、からだの基礎代謝が上がるため、脂肪の燃焼効率がアップします。

ほどよい苦みは集中力を高める働きもあり、気分転換にもなります。苦み成分のナリンギンには食欲を抑える効果も。営業資料づくりが夜遅くまでかかっても、空腹感をあまり感じなくて済むかもしれませんね。

グレープフルーツ。さわやかな香り成分のリモネンには、リラックス効果があり、からだにも活力を与えてくれる。

眼精疲労や血圧上昇を抑える働きも

グレープフルーツはビタミンCが多く含まれているため、ストレス緩和にも役立ちます。パソコンのディスプレイを長く見ていると眼精疲労を起こしやすくなりますが、ビタミンCには目の疲れや充血を防ぐ効果があります。

糖分が気になる人もいるかもしれませんが、果糖はインスリンの力をあまり必要としないため、血糖値には影響しません。取りすぎると肥満のリスクがありますが、高カロリーではないので気にしなくていいでしょう。

同じ姿勢で長時間作業していると、血流が悪くなり、血圧が上がるリスクがありますが、そんなときもグレープフルーツで予防できます。カリウムが多く含まれているため、血圧の上昇を抑える効果があります。カリウムは、体内の余分なナトリウムを排泄してくれるため、むくみの改善にも有効です。

「ホワイト」「ルビー」どちらも風味は同じ

グレープフルーツは一つの枝にたくさんの実がなります。その姿がまるでブドウのようなので、この名前がついたといわれています。一般にお店で売られているグレープフルーツは「ホワイト」と「ピンク(ルビー)」の2種です。

「ホワイト」は白っぽい黄色の果肉で、果汁が多く、さわやかな甘酸っぱさと、ほのかな苦みが特徴。対して、「ルビー」の果肉はその名のとおり、赤みがかったピンク色。ホワイトに比べて酸味や苦味が控えめで、やや甘いのが特徴です。風味はどちらもそれほど変わりません。

グレープフルーツの原産は、西インド諸島のバルバドス島。その後、米国のフロリダに伝わり、栽培されるようになりました。日本でも大正初期に栽培が試みられましたが、気候が向かず定着しませんでした。主な輸入先は米国で、旬は1~5月。現在では国内でも宮崎や熊本、和歌山などで栽培され、4~5月頃に旬を迎えます。

ホワイトもルビーも、健康効果は同じです。それなのに私が栄養指導している選手の中には「グレープフルーツはピンクが良い……」とか「キウイは緑色じゃないのにして……」とワガママ発言も。そんなときは一応「はい、はい」と答えておきますが、アレルギー対応以外は行わず、ニコニコしながら、そのまま提供しています。そして彼らも残さず食べています(笑)。

ジュースならしぼった果汁そのままの「ストレート」を

栄養素や健康効果はジュースでもほとんど同じです。

ただし、市販の100%果汁ジュースには「濃縮還元」と「ストレート」の2タイプがあることを知っていますか。

「濃縮還元」は、しぼった果汁から水分を飛ばしてペースト状に濃縮させた後、水分を加えて元の濃度に戻したもの。輸送や保存がしやすくなるため、一般に流通している100%果汁ジュースの多くは濃縮還元で、価格もリーズナブルです。

一方、「ストレート」は、濃縮・還元加工を行わずに、しぼった果汁を加熱殺菌し、そのままビンやパックに詰めたものです。グレープフルーツ本来の甘酸っぱさや苦みを味わいたいなら、こちらを選びましょう。

また、グレープフルーツジュースを飲むときは、ちょっと面倒でもコップに注いでください。そのほうが香りを感じやすくなり、アロマ効果をより得ることができます。

紅茶との組み合わせで相乗効果が得られる

外回りの営業から戻ってクタクタに疲れた夕方。でも、明日までに営業資料をつくらなければならない――そんなときは、紅茶:グレープフルーツ果汁=1:1の、「グレープフルーツティー」を飲んでみてください。

グレープフルーツと紅茶の組み合わせは相性が抜群によく、高い相乗効果があります。紅茶に含まれているカフェインには脳に刺激を与え、覚醒させる作用があるうえ、そこにグレープフルーツに含まれるクエン酸が加わると効率よく脳神経を活性化することができます。さらに、クエン酸には疲労物質を分解するという特性もあります。

私がよくつくるのは、紅茶に果汁ではなく、皮をむいた果肉(大きさにもよりますが1/4~1/6個)をそのまま入れるグレープフルーツティー。疲れて甘いものがほしいときは、ハチミツを入れて飲みます。

長時間の営業資料づくりで疲れが出てきたときに、これを飲みながら休憩すると、集中力がアップするとともにリラックス効果も得られます。特に寒い時期は熱いグレープフルーツティーがからだも心もほっこりさせてくれます。

紅茶だけでなく、グレープフルーツの果肉をサラダに入れたり、果汁をドレッシングにするのもいいでしょう。

ただし、カルシウム拮抗剤と言われる「血圧を下げる薬(降圧剤)」を服用している人がグレープフルーツを食べると、薬の効果が強く出すぎてしまうことがあります。くれぐれも注意しましょう。

(構成=河合起季 撮影=宇佐美雅浩(石川先生)、榊智朗(食品))