ストレスによる抗酸化力の低下を補える
ここ一番の勝負がかかったプレゼンテーションには、からだのコンディションをしっかりと整えて臨みたいもの。そんなときに食べておきたいのが「プチトマト」です。
その理由は3つあります。ひとつは、「実のもの(中に種がある食べもの)」全般にいえることですが、大切な種子を守る、皮や果肉にフィトケミカルやビタミン・ミネラルを備えているため、「抗酸化力が高い」という点です。プレゼンの前は、資料づくりの追い込みや緊張感で過度なストレス状態が続くため、抗酸化力が低下しやすくなります。プチトマトはそれを補ってくれるのです。
抗酸化とは、酸化する(からだがサビる)のを抑える作用のこと。からだが酸化すると、集中力の低下や老化促進、動脈硬化、さらにはがんなどの深刻な病気につながりやすくなります。
フィトケミカルは、植物が紫外線や昆虫など有害なものから身を守るために作り出した色素、香り、辛味、アクなどの成分のこと。ポリフェノール、カロテノイド、硫黄化合物などの種類があり、ひとつの果物や野菜に複数存在しています。からだに取り入れると、抗酸化作用以外にも、殺菌、免疫力向上、アンチエイジングなどの効果が期待できます。ないと生きていけないわけではありませんが、健康に有用であるとして注目されています。フィトケミカルは体内で作り出せないため、食品から摂取することが必要です。
高まりすぎた交感神経をGABAが鎮める
2つめは、アミノ酸の一種、GABA(ギャバ)が含まれていることです。GABAには、緊張やストレスなどを和らげ、脳の興奮を鎮める働きがあります。
自律神経には、血圧や脈拍などを下げて心身を落ち着いた状態にする「副交感神経」と、逆にそれらを上げて心身を活発な状態にする「交感神経」の2つがあり、これらのバランスをうまくとることによって健康なからだと心を維持しています。しかし、過度なストレスを感じると、副交感神経よりも交感神経が優位になるため、興奮状態が続き、疲れやすくなったり心が不安定になったりします。そこで、プチトマトによってGABAを摂取し、交感神経を落ち着かせるというわけです。
また、GABAをとると副交感神経が優位になってリラックスモードになるため、睡眠の質を高める効果も期待できます。よく眠れないとプレゼンのパフォーマンスも落ちてしまいますから、この点でもプチトマトはおすすめです。
最後は、プチトマトを口に入れて噛んだときに出てくる果汁の「ジュワッ」とした食感です。甘酸っぱい果汁がリフレッシュさせてくれます。酸味物質の「クエン酸」には疲労回復を促す働きがあるので、アスリートもプチトマトをよく食べています。
切らずに食べられるから栄養素をロスしない
午後にプレゼンがあるなら、午前中にプチトマトを食べましょう。プレゼンの資料づくりなどでハードな日々が1週間くらい続くなら、毎日少しずつ食べてください。プチトマトは、そのまま丸ごと食べられるので切る必要がありません。切った面が空気や光に触れて酸化すると、抗酸化物質やビタミンCなど大切な栄養素が減ってしまいます。
あるビジネスパーソンは、私の栄養指導を受け、ストレス対策としてプチトマトを会社に毎日持っていくようになりました。かわいいボックスに入れたプチトマトをデスクの上に置いたそうですが、そんな男性は珍しかったようです。彼は部下から、話しかけやすく相談しやすい「理想の上司」と言われていましたが、プチトマトが親しみやすいイメージに一役買ったのかもしれませんね。
朝食はプチトマト入りのスクランブルエッグを
少し余談になりますが、そのビジネスパーソンの話の続きです。
私は彼の日常生活をヒアリングして、ある提案をしました。それは、「朝食の時間を10分長く取る」こと。昼食と夕食は会議が入ったり人に誘われたりして、からだを考えた食事をゆっくり食べられる日が少なかったからです。
朝食なら誰にもじゃまされず、食べものも自分でコントロールできます。朝しっかりと食べておけば、仕事に追われてランチが多少遅くなっても踏ん張りがきくはず。先手を打っておけば、からだにも心にも余裕が生まれます。
朝食メニューは、その日にプレゼンが控えているなら、プチトマトやチーズ入りのスクランブルエッグがおすすめです。高タンパク質のスクランブルエッグは、体温上昇を促し活動のスイッチが入りやすくなります。
プチトマトはスーパーで買うのもいいですが、自分で育てれば「朝もぎ」の新鮮なものが食べられます。大玉のトマトより手入れが楽で、庭がなくてもプランターで栽培できます。5~6月に苗を植え付け、収穫は7月頃から。小さな実がたくさんできてくるのを見るのも楽しいものです。
また、休日に「プチトマトのコンポート」を作ってみては。鍋に白ワインとハチミツを入れて強火にかけ、アルコール分を飛ばしたらプチトマトとレモン汁を加えます。冷蔵庫で冷やせば、さわやかなスイーツが完成。
甘いお菓子に劣らずおいしくて、はるかに健康的です。前述した彼も、プチトマトを食べるようになって市販のスナック菓子は食べなくなったそうです。
昼食のカツ丼は集中力や判断力を損なう
午後のプレゼンを成功させるには、昼食に何を食べるかも重要なポイントです。脂っこいものは控えるべきで、「必勝祈願!」とばかりにカツ丼を食べるのはもってのほか。油脂分を取りすぎると、血液がドロドロになって流れが悪くなります。そうなると、脳にエネルギーであるブドウ糖や酸素が十分に届けられず、集中力や判断力が損なわれてしまいます。
空腹・満腹もNG。空腹状態では、エネルギーが不足し血糖値が低下するため、脳をフル稼働させることはできません。かといって満腹では血液が消化に使われるため、やはり脳はエネルギー不足になって、うまく働かなくなります。
プレゼンの前は、消化のいいものを腹八分目に食べましょう。本番の頃には胃に何も残っておらず、脳はブドウ糖に満ちているという状態がベストです。
トップアスリートは、試合当日に最高のパフォーマンスを発揮できるように体調を合わせていきます。トレーニングに励むとともに、その効果を上げるために食事にも細心の注意を払い、ベストな状態で戦いに臨むのです。
ビジネスパーソンも同様に、プレゼン当日に最高のパフォーマンスを発揮できるように体調をコントロールしましょう。からだがベストな状態であってこそ、脳や心のコンディションも良好になるのです。


