美しさを定義するのはおこがましい

考えすぎて「頭でっかちになっているな」と感じたとき、私は日本民藝館を訪れます。太い梁、漆喰の壁、無骨だけれど温もりを感じる木の階段。連子窓れんじまどから差し込む光に包まれていると、まるで実家に帰ってきたかのように落ち着くのです。

東京・駒場の静かな住宅街に佇む日本家屋風の建物は、1936年に美術評論家・柳宗悦やなぎむねよしが蒐集した民藝品を展示するために建造されました。私の父は、「名もなき職人が人々の生活のためにつくった道具や日用品にこそ、驚くべき美が宿っている」とした柳宗悦の孫弟子で、私も幼少の頃からたびたびここを訪れていました。

実家にも、父が世界中から集めたたくさんの民藝品がありました。素朴な器を前に、いつも父は問うてきました。