出社前、海で遊んで 特急「湘南」で睡眠をとる

午前6時の茅ケ崎海岸。夜明けを覆っていた鉛色の雲が割れ、群青のグラデーションが広がってきました。今日は混み合う「ショップ下」を避け、「白樺」と呼ばれるポイントに入ることにします。夏の低気圧が芯のあるいい波をつくっていて、今日も最高に楽しい時間を過ごせそうです。

サーフィンに出合ったのは、20歳の夏。髪を濡らして講義に出ていた同級生から「波乗りしてきた」と聞いて、興味を持ったのがきっかけです。学生時代はサーフィン三昧。社会人になり1年間だけ川崎の社員寮に住みましたが、以降はずっと湘南エリアで、海と寄り添う毎日を送っています。

茅ケ崎の本番はやはり夏。明るくなり始める4時すぎに一度様子を見に来て、波が高ければターンがしやすいショートボード、小さければ浮力のあるミッドレングスを選びます。ちなみに凪の日は立ち漕ぎのパドルボードでエボシ岩を訪れたり、カヤックで沖に出て釣りを楽しんだりしています。

波は絶え間なく押し寄せますが、すべてに乗れるわけではありません。狙うのは「Aフレーム」と呼ばれる、中央から左右に割れていく波です。サーフィンのルールで一本の波に乗れるのは一人だけ。波のピークができる辺りにポジションをとって、いち早く漕ぎ出さなければなりません。

多くの時間は沖に向かって、いつ来るともしれない「乗れる波」を待ち続けています。その間、頭の中は空っぽ。年齢とともに性格も丸くなったのか、近ごろは穏やかな気持ちで波を待てるようになりました。マインドフルネスとは、まさにこういう心のありようを言うのかもしれません。

今日は満足のいくライドが3本ほどありました。自転車のキャリアにサーフボードを積んで、自宅へ戻ります。これから玄関先の温水シャワーで塩と砂を流し、身支度を整え出社します。東京駅にあるオフィスまでは50分。特急「湘南」に席をとって、ひと眠りするつもりです。

全世界売上の約23%を日本法人が稼げたワケ

私の信条は「Work in Life」。仕事は人生における大切なピースではあるけれど、すべてではありません。ですが、かつての私は真逆の考え方で、熾烈な競争の中で結果を出すことばかり考えていました。転機が訪れたのは38歳の時。当時勤めていたセールスフォース・ドットコムで、社長の仕事ぶりに衝撃を受けました。桁外れの集中力とスピード感で次々と成果を上げていく――。まさに生まれ持ったスタイルで、自分には到底真似できないと思い知りました。

そして、自分にとっての自然なスタイルとは何かと考え、行き着いたのが家族や趣味の時間を一番目に、仕事を二番目にする生き方でした。日々が充実すると、仕事でも無理なく力を出せるようになりました。サーフィンでガツガツと波を追いかけるスタイルから変化したのもこの頃です。

外資系のベンダーで日本市場の開拓に携わりたいという思いから、Boxに入社したのは2014年6月でした。急成長中のIT企業にありがちな過度な競争意識がなく、部署を超えて支え合う全社一体経営のカルチャーをつくれたことは、私のスタイルに近いですし、誇らしく思っています。

世界12万社以上が導入する弊社のクラウドコンテンツ管理は今、AIを軸とした新たな成長フェーズを迎えています。高度なアクセス制御と堅牢なセキュリティのもとで契約書や稟議書などの業務ファイルをAIが解読し、ワークフローに沿って処理することで現場の負担を大幅に削減します。こうした機能が今後、あらゆる職場で働き方を支える土台になっていくでしょう。

(構成=渡辺一朗 撮影=宇佐美雅浩)

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