日本が「金利のある世界」に変わりつつある。ファイナンシャルプランナーの内藤眞弓さんは「銀行は顧客獲得競争で優位に立つため、普通預金や定期預金の金利を引き上げている。安全性を確保しながら、少しでも高い金利を得ることが資産全体の利回りアップにつながる」という――。
銀行の看板
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ようやく「金利のない世界」から脱却

日本銀行が追加の利上げをし、政策金利は0.5%程度となりました。賃金も物価も明確な上昇基調となっていることから、政策金利は今後も緩やかに引き上げられると予想されています。これを受けて、メガバンクをはじめとする銀行各行では、預金金利を引き上げる動きが加速しています。

今の現役世代は社会人になって以降、ほぼ「金利のない世界」を生きてきました。金利が上昇していく局面で、大切なお金をどうすればよいのか、戸惑う人が多いのではないでしょうか。今回は、安全性が高く、相対的に金利の高い円ベースの商品に注目したいと思います。

金融経済教育推進機構が行った調査によると、金融商品を選択する際に重視することとして、「利回りが良いから」「将来の値上がりが期待出来るから」など、収益性を重視する世帯が4割超を占めています(※1)

一方、預貯金に関しては、「どうせ大した金利がつかないから」と、「普通預金に入れっぱなしにしている」という人が多いのではないでしょうか。

(※1)「家計の金融行動に関する世論調査」(2024年)

安全かつ着実にお金を増やす方法はある?

しかし、どんなに株式などで高利回りを得ていたとしても、資産のほとんどが普通預金というのでは、資産全体の利回りは低くなってしまいます。たとえば、資産の2割で株式投資をし、8%の利回りを得ていたとしても、8割が0.1%の普通預金では、資産全体の利回りは1.68%に過ぎません(8%×0.2+0.1%×0.8=1.68%)。

だからといって、全財産をリスクの高い商品に投資するのは無謀というもの。使い道が決まっているお金などは、収益性よりも安全性を優先させることが大事です。

ただし、「金利のある世界」とは、安全性が同じであっても、金利に差がつく世界です。安全性を確保しながら、少しでも高い金利を得ることが資産全体の利回りアップにつながります。まずは身近な銀行預金から見ていきましょう。