米国大統領が誰でも円安基調に変わりはない
株価や為替の先行きを考えるうえでは、地政学的リスクも考慮しなければなりません。これからの世界経済を左右しうる、3つのテーマについて見てみましょう。
まず、米国大統領選の行方です。共和党候補のドナルド・トランプ氏が大統領に返り咲くのか、ジョー・バイデン氏に代わって民主党候補になったカマラ・ハリス氏が初の女性大統領になるのか。世論調査などを見るに、現在の支持率は五分五分のようですが、専門家の解説では「それでもトランプ氏が有利」とする声が多いようです。
トランプ氏は実業家なので「ドル安にして米国の商品やサービスを世界中で売りたいはずだ」という専門家が少なくありません。現にトランプ氏自身も「俺はドル安で金利は低いほうが好きだ」と言っているようです。ですが、トランプ氏が掲げている政策を実現すれば、結果は逆(ドル高)に向かうのではないでしょうか。
トランプ氏の言動を踏まえると、財政政策は拡張路線、通商政策は保護主義路線、移民政策は制約路線の組み合わせになると予想されます。これらをすべて実行すれば、インフレ圧力が強まって金利は上昇し、世界中からドルが買われるのではないでしょうか。
現に前回の任期中(17~21年)にはそうなりました。トランプ氏が何を言おうと金融政策が変わるわけではありませんし、通貨政策は結局、金融政策に規定されるのです。
難しいのは、ハリス氏が大統領になった場合です。8月に民主党候補になったばかりでまだ具体的な政策について詳細に言及していませんが、バイデン路線を継承するのではないかと言われています。ではバイデン政権はどうだったかというと、言動は多少ソフトだったものの、実質的には「トランプ路線の継承」でした。
つまり、ハリス氏が勝利しても米国の“引きこもり傾向”は変わらず、大胆に利下げをする環境にはならないのではないかと見ています。
次に、ロシアとウクライナの戦争について考えてみましょう。ロシアのウクライナ侵攻によって、世界はグローバリゼーションが減速・逆行する「スローバリゼーション」の時代に突入したと言われています。分断が進みヒトやモノやカネの動きが制約を受け、各国でインフレ圧力が強まりました。
ロシアがウクライナ東部に侵攻したのは22年2月24日未明、円安が始まったのは22年3月11日からです。直近2年半の株と為替の動向に、小さくない影響を及ぼしたと思います。今のところ両国の戦いが収束する気配は見えませんが、終戦にいたればエネルギー価格は下がります。
現在、原油価格は1バレル=75ドルであり、一時期よりはかなり落ち着いた状況にありますが、コロナ前に比べるとまだ2~3割高いです。日本の輸入の4分の1はエネルギーですから、戦争が終結すれば日本の貿易収支は大きく改善するでしょう。
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