ビジネスの共通言語を得るにはどうすればいいか。おくりバント社長の高山洋平さんの友人で複数の企業を経営する男性は「メシの話は、ビジネスマンの共通言語だ。営業マンは松屋をはじめとした飲食店、特に大手チェーン店の情報に敏感であるべき」という――。
※本稿は、高山洋平『ビジネス書を捨てよ、街へ出よう』(総合法令出版)の一部を再編集したものです。
朝に弱い非常識な社長の友人“朝定エージェント”の正体
おくりバントのオフィスは西新宿にある。僕が住む笹塚のアパートからは電車で20分ほどで着く距離だ。
おくりバントに定時はないが、僕はいつもの習慣で毎朝8時頃に自宅を出て、8時半までには出社している。静かな社内でメールや予定をチェックし、業務に備えるのが僕のルーティンだ。社会人として、始業前に準備をしておくのは当然だろう。
ちなみに定時がないのは、朝が弱い社長、つまり高山の意向によるもの。この会社における法の全ては、高山が存分にサボるためだけに存在している。どこまでも世の中の常識に逆らう気なのか。
でもその日、僕は盛大に寝すごしてしまった。出社したのは10時すぎ。ここ数日間、退社後に個室ビデオ巡りをしていたせいで、寝不足がたたったのだろう。
とりあえず一息つこう。コーヒーを入れに給湯スペースへ行くと、高山の姿があった。見知らぬ誰かと談笑している。
高山は僕を見つけると、のんびり声をかけてきた。
「よう」
「遅れてすみません!あの、こちらの方は……」
「ああ、蠣田さんだ。おれの友人であり、“朝定エージェント”でもある」
「朝定……エージェント?」