社内の人間関係がうまくいっている人は何をしているか。おくりバント社長でプロ営業師の高山洋平さんは、普段街に出ているため、会社に寄りつくのは稀だ。しかし、オフィスにいるときには必ずデスクの前で多くの社員たちが足を止め、人だかりができる。そのカラクリはデスク上に置いた「味変調味料」にあるという――。
※本稿は、高山洋平『ビジネス書を捨てよ、街へ出よう』(総合法令出版)の一部を再編集したものです。
普段オフィスに来なくてもこのアイテムを揃えれば慕われる
この日のランチタイムも高山の周囲は賑やかだ。
外で昼食を買いオフィスに戻ってきた社員たちは、必ず高山のデスクの前で足を止める。営業部のメンバーだけではない。経理、総務、広報、さまざまな部署の人間が、笑顔で高山と言葉を交わしていく。
普段ろくにオフィスに寄りつかない人間が、なぜこうも慕われているのだろうか?
何か仕掛けがあるに違いない。食べかけの弁当を置き、高山のデスクを覗いた。
「なっ……」
僕は言葉を失った。一体何でこんなところに大量の……。
「高山さ~ん、ニンニクとオリーブオイル、お願いしま~す」
突然、明るい声が響いた。オフィスの反対側から、カップ麺をお盆にのせた女性がやってくる。背は小さく、童顔で丸い肩。年は30代後半くらい。経理の佐田さんだ。
佐田さんは、サッポロ一番塩らーめんどんぶりがのったお盆を高山に差し出した。
なぜ、みんなお昼に高山のもとへ集まるのか。このとき、僕は理解した。
高山のデスクには大量の“卓上調味料”が置かれていたのだ。コショウ、七味唐辛子、カレー粉、山椒、にんにく、オリーブオイル……。まるで、社員食堂だ。