朝への過度な期待でダメになる人

1つ例を出して考えてみることにしましょう。

Cさんは午前中、部署の営業戦略の立案や企画などといった頭を使う仕事をしています。ただ、昼食のあとは眠くなったり集中力が落ちることから、昼食前に商談や打ち合わせを増やすようになりました。

そして夕方から経費精算や日報・日誌などの作成などを行い、急に入ってくる飛び入りの仕事や打ち合わせも午後の遅い時間帯に入れます。したがって必然的に残業は増えます。

残業なども終えて帰宅するのは午後7時過ぎになります。食事は外で済ませたり、帰宅してからとったりするのですが、どちらにせよその日はそれ以上のことはできません。

自宅でリラックスするビジネスウーマン
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資格取得の勉強も継続的にしていきたいので、朝早く起きて出社前に試験に出てくる専門用語を暗記したり、参考書に目を通したりしています。

一見、Cさんの1日の過ごし方には大きな問題はないような気がします。しかし、このような1日の過ごし方で仕事の効率が上がったり、資格試験に受かったりするのでしょうか。

一番重要なことは昼にやるのがもっとも効率的

私の考えをいいましょう。かなり厳しいと思います。

人間をはじめ、哺乳類ほにゅうるいの多くは昼行性の生き物とされています。そして、その行動は体内時計によってコントロールされています。

そうなると、私たちがもっとも効率的に動けるのは昼間、つまり午後の時間帯ということになるわけです。

1日の流れはたとえるならば、マラソンのようなものです。いきなり全速力で飛び出すのではなく、先頭集団からは遅れないようにするものの、まずは「慣らし運転」のような感じで徐々にペースを上げていくのです。もちろん、必要ならばラストスパートをかけます。

「本当だろうか。午後になるとぼーっとして仕事がはかどらなくなるような気がする」という人もいるでしょう。

しかし、これには理由があります。

たとえば昼食をたっぷりとってしまった場合、午後の仕事の能率は確かに落ちます。けれどもこれは「午前中がんばったので安心したり、お腹が空いたりしたこともあり、昼食をしっかりとった」ということが原因となっているのです。

朝早く起きなければ、昼もそれほどお腹も空かないはずですから、昼食もほどほどの量で済むでしょう。それならば血糖値が上がることもなく、眠たくもならず、午後も集中力は落ちないはずです。

けれども、朝に仕事が集中していると、その反動が午後に出てきてしまうようになるのです。