人間は昼行性の生き物

だとしたら、早起きなんて無意味です。朝にそんなに高い期待値を持つ必要はありません。

それに「昼は眠くて働けない」というのなら、昼休みにでも10分程度、仮眠すれば十分眠気は取れます。

また、頭を冴えさせたいなら、コーヒーを飲むだけでも十分かもしれません。

人間は昼行性の生き物なので、朝早くとか夜遅くとかは関係がなく、日中に重要な要件をこなしておくということがもっとも効率的なのです。

ただし、不思議なほど、世の中には「朝神話」が蔓延まんえんしているようです。

個人レベルではなく、会社単位も同じです。多くの会社では仕事を午前中に集中させています。

物流の現場作業でも、午前中に納品や搬入が集中することが少なくありません。宅配便も「午前中時間指定」が非常に多くなっています。「午前中に用事は済ませておいたほうが、あとの時間を有効に使える」と考えるからでしょう。

配達員から荷物を受け取る女性
写真=iStock.com/bee32
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デスクワークもしかりで、重要な会議や打ち合わせは午前中に行うのがほとんどです。

しかし、そういう人たちに本心を聞いてみると、「集中すべき仕事は、絶対に午前中にこなさなければならないというわけでもない」とのことです。

加えていえば、「午前に仕事を全部済ませたので、午後には何もすることがなくなった」ということもよくあるといいます。

午前中の出荷の終わった物流センターの午後のアルバイトさん、パートさんは手持ち無沙汰ぶさたになります。営業パーソンも午前中の会議を終わらせて取引先に出向いたときには、重要顧客も社内にはいなくなってしまうというわけです。

計画的に常時早起きする必要はない

しかし、午前中に集中するこうしたタスクを少し昼以降に回すだけで、午前中の疲労や負担が軽減できるし、午後以降の仕事の効率も上がるようになるといったら、どうでしょう。

朝早く起きること自体、否定はしませんが、午前4時に起きて眠たい目をこすりながらメールに返信したり、資格試験の問題集を解いたりしても効果は薄いだろうし、効率も悪くなるだけです。

「午前中、がんばりすぎて午後は身体がだるい」「午前中やりたいことはやったので午後は暇になる」という声もよく聞きます。

それならば、朝は出社直前の午前7時まで寝て、前日の疲れをしっかりとってはどうでしょう。午前中はゆっくりと仕事をして、午後からペースを上げればよいのです。

私は基本的にこのやり方です。

やむを得ない理由で早起きして作業をすることもありますが、それはあくまで「時間に追われて」の話で、計画的に常時早起きするということはありません。

結局、「朝しかできないと思っていたけど、意外と午後とか夜のほうが、効率が上がる」ということになります。

もちろん、朝型でがんばれる人もいるでしょう。しかし、標準的な生活パターンで過ごしているごく普通の人には朝型の生活はかなりの負担となるはずです。

朝が苦手な人はムリに早起きなどはせず、逆にゆっくり眠って、1日乗り切るエネルギーを蓄えるのがいいのです。