カード事業の商品開発に絶対の自信を持っている男がいる。バンダイの上床威一郎(36歳)だ。カードといってもクレジットカードではない。交換や対戦をして楽しむキャラクターカードである。
「仕事に飽きたことは入社してから一度もありません。もともとおもちゃ好きなので、自分がやりたいことをやれるこの会社は面白いですよ」
自らもアニメに出てきそうなコミカルな雰囲気を漂わせる上床。入社早々に成功体験を味わっている。ガンダム好きが高じて、大人向けのカードゲーム「ガンダムウォー」を開発し、見事にヒットさせたのだ。
以後、オンラインゲームなどで失敗も経験するものの、デジタルカードとカードゲームを融合させた「データカードダス」事業の立ち上げメンバーにも抜擢され、現在はカード事業の開発チームを任されている。
ちなみに、データカードダスの機械は全国に約2万台設置され、6年間で700億円以上のカードを販売。バンダイの「稼ぎ頭の1つ」(同社広報)である。
「私は新しいインフラを生み出すことは得意なのですが、細かくて心配性でもあるので型をつくってしまいがち。せっかくつくったインフラの価値を最大化するのが苦手なんですね。型を破ってくれる人が必要です」
2010年、チームメンバーの意見を入れて商品化したプロ野球選手のカードは、予想を上回る好調。すでに4000万枚以上を売り上げた。上床は、カードゲームへの情熱は保ちつつ、リーダーとしての実績も積み上げている最中である。