仕事のために何かを諦めはしない
IBM社内のコンサルタント教育部門を率いている清水久三子(41歳)は、1つの事業部で叩き上げてきた上床とは違って、転職や職種転換を経験している。ただし、いずれも前のめりに仕事に取り組んできた結果である。
新卒で入社した大手アパレル企業では、社内システム開発部門で業務改善を担当した。しかし、ITに不慣れなベテラン社員が大きく反発。「どうすれば物事が進むのか」と悩み抜いた。
その帰結として、28歳のときにプロジェクトマネジメントのプロ集団であるPwCコンサルティング(現在はIBMと統合)に転職。新規事業戦略立案やプロフェッショナル人材制度設計などの案件に携わる。「一度プロジェクトに関わると、そのクライアントから継続参加を求められる」というコンサルタントとしては理想的な形で働くことができた。
転機は再び訪れる。当時の社長から「社内の人材教育をやってくれ」と頼まれたのだ。コンサルティング会社は人材がすべて。意義を感じた清水は、コンサルティングの現場から離れることを決意する。
現在、清水は「プロを育てるプロ」としてコンサルティング業界では知る人ぞ知る存在だ。『プロの学び力』『プロの課題設定力』という著書も持つ。
家庭では、同じ業界で働く夫と協力して3歳の娘を育てる。写真や料理などの趣味も続けている。
「子どもがいるから何かを諦める、なんて考えはしたくありません。orではなくandの人生を送りたい。どんなに忙しくても1日1分はカメラに触れることにしています。継続が大事だと思うので」
もちろん、仕事にも貪欲である。バックオフィス業務は社内向けのサービス業だと認識し、要望に対して「できない」とは極力言わないよう努めている。
「チームメンバーは20人ですが、一昔前と比べると半減しています。いかに効率化すべきかを考え抜いて、良質な研修を実現しなければ、私たちの存在価値はありません」
何よりも自分に厳しいプロの覚悟である。若々しい真摯さすら感じる。