なぜ人は高齢になると横柄な態度を取りやすいのか。精神科医の和田秀樹さんは「男性ホルモンの多い人ほど、人間関係の構築に前向きで人に優しくなる。反対に男性ホルモンの少ない人ほど、怒りっぽく、意地っ張りになる傾向がある」という――。(第4回)

※本稿は、和田秀樹『いつまでもハツラツ脳の人』(日刊現代)の一部を再編集したものです。

「教師・弁護士・代議士・医師」は介護職から嫌われている(※写真はイメージです)
写真=iStock.com/takasuu
「教師・弁護士・代議士・医師」は介護職から嫌われている(※写真はイメージです)

男性ホルモンが生きる意欲を左右する

心臓ドックと同様に私が欠かさず受けているのが血液検査です。

その主な目的は男性ホルモンの値を確認すること。

やや大げさにいうと私にとって最大の“健康指数”は「男性ホルモン値」といっても過言ではありません。

なぜ男性ホルモンの値なのか――。その答えはじつに明解で、男性ホルモンこそが生きる意欲を大きく左右する要素だからです。

この数値が低くなると多くの心身の障害を起こし、ヨボヨボ脳になるリスクが高まります。

年齢を重ねるごとに私たちはさまざまな能力が減退してきます。

足腰をはじめとする筋力、気力や集中力を左右する精神力、その他視力、聴力、咀嚼する力など、年齢に応じて減退する能力は数え上げたらきりがありません。

その中で私が最も警戒するのは「意欲の衰え」です。

人間の心を司っているのは大脳ですが、私の臨床医としての経験からすると、最も早く老化するのは大脳の中の前頭葉です。

前頭葉は脳の中で最も早く成長し、最も早く老化します。非常に早熟な組織であり、若い人が新しい事柄に次々と興味を持つのは、前頭葉の“なせるワザ”なのです。