健康のためには好物も我慢すべきなのだろうか。精神科医の和田秀樹さんは「動脈硬化を恐れるあまり、好きなものを満足に食べない暮らしを続けていれば、男性ホルモンは減少し、免疫機能も低下する。それより好物を思う存分食べ、男性ホルモンの量を増やし、NK細胞活性を上げたほうが、よっぽど幸せだ」という――。(第3回)

※本稿は、和田秀樹『いつまでもハツラツ脳の人』(日刊現代)の一部を再編集したものです。

健康のため“ご馳走”を控えるケースが目立つ(※写真はイメージです)
写真=iStock.com/show999
健康のため“ご馳走”を控えるケースが目立つ(※写真はイメージです)

健康のために「精のつく食べもの」を我慢する人

肉以外で男性ホルモンの補給に有効なのが、レバー、うなぎ、牡蠣、にんにく、納豆、オクラなどです。

どれも「精のつく食べもの」で、ネバネバ系も少なくありません。しかも美味で、愛好家の多い食品です。

ところが、これらの食品を我慢する人が少なくありません。

「医者に止められてコレステロールの含有量が高いのは避けている」

と、不本意な気持ちを抱えたまま、“ご馳走”を控えるケースが目立つのです。

同じように、血圧が高い人は、きまったように医師から「塩分控えめ」を忠告され、真面目な人は頑張って実行してしまいます。

血圧を測定するたびに、数値が下がっていることを医師に誉められると、それが励みになり、ますます塩分を摂取しなくなる傾向もあります。

私の知人のお父さんは頑固な性格も手伝って、頑なに医師のアドバイスを守っていました。塩分の量に過敏と思えるほど反応し、奥さんが時間をかけて作った煮魚のたれを洗って食べていたそうです。

奥さんの悲しげな表情が目に浮かびますが、それはさておき、そのような暮らしを続けていた結果、血圧はずっと抑えられていたそうです。

ですが、あるとき気分が悪くなり、ひどい頭痛で入院してしまいました。

検査をしてみても頭痛の原因は明らかにならなかったのですが、ひとつ判明したことがありました。

それは「低ナトリウム血症」。

医師の話では塩分の摂取不足が頭痛の原因であったかもしれない、ということでした。

お父さんは、病院の味噌汁が「おいしい」と喜んでいたそうですが、しっかりと塩味のある料理は久しぶりだったのでしょう。