好きなものを我慢するのは「百害あって一理なし」

このエピソードを笑ってばかりはいられません。

たしかに「低ナトリウム血症」になってしまうほど塩分を摂らないのは極端なケースですが、これと似たような日常が病院の診察室では毎日のように見られます。

「コレステロールが高いからタマゴや肉は少し減らしましょう」
「血糖値が高いですね。毎日スイーツ? 甘いものは1週間に1回、週末の楽しみにしましょう」

「コレステロールのためにタマゴを減らす」は必要なのか(※写真はイメージです)
写真=iStock.com/hungryworks
「コレステロールのためにタマゴを減らす」は必要なのか(※写真はイメージです)

そんな医師や栄養士の言葉を鵜呑みにして、好きなもの、美味しいものを我慢するのは、ややオーバーですが「百害あって一理なし」。

お腹周りが気になっている人でも、ほとんどの場合は深刻な肥満ではありません。

にもかかわらず、好きな甘味を我慢していたらストレスをため込むだけです。

焼肉やうなぎが大好物なのに、血圧やコレステロールが高いからといって、「年に2、3回しか食べないようにしている。本当は毎月、食べたいのですが」と、浮かない顔をしている人は少なくないのです。

それで血圧や血糖値やコレステロールは正常になったとして、それが楽しい暮らしになるのでしょうか?

私なら絶対、断ります。

そもそも、医師が血圧、血糖値、コレステロールなどに注意を払う大半の理由は脳梗塞や心筋梗塞といった血管障害を予防するためです。

その最大の原因は動脈硬化ですが、血管は年をとればみんな硬くなります。にもかかわらず、「食の楽しみ」を奪ってまで食事指導が必要でしょうか?