コロナ禍では「外出自粛」が広く呼びかけられた。精神科医の和田秀樹さんは「外出、運動、コミュニケーションの機会の減少はいずれも認知症発症のリスク要因。人によっては『うつ』を生じかねない。過度の人流規制は60代以降の認知症増加を招く」という――。(第1回)

※本稿は、和田秀樹『いつまでもハツラツ脳の人』(日刊現代)の一部を再編集したものです。

コロナ禍が高齢者の脳にもたらした悪影響

2020年に発生したコロナ禍によって生じた過度の人流規制、とりわけ60代以降の世代に対しての影響について、私は大いなる危惧の念を抱いています。

ひと言でいえば、今後の調査によって、著しい認知症増加が明らかになるのではないか、ということです。

このコロナ禍にあって、政府、各自治体は「人と会うのは犯罪だ」とばかりに、異常ともいえる人流規制を訴えました。

テレビをはじめとする各メディアも、そろってその主張に「右へならえ」のスタンスを取りました。

その結果、次の①②の事態が生じました。

①高齢者のコミュニケーション量の減少
②高齢者の運動量、運動能力の低下

半世紀以上の間、多くの国が経験したことのないパンデミックに襲われたわけですから、そのうろたえぶりもわからないではありません。

私自身、厚労省や新型コロナ感染症対策本部専門家会議の対応には、疑問を禁じ得ませんでした。

それに関しては、ここでは述べませんが、コロナ対策の大きな柱となった大規模な人流規制によって、広範囲にわたって高齢者の健康状態が著しく損なわれたと考えています。

特に、新たな認知症発症者の増加、認知症患者の症状悪化に拍車がかかったことは間違いありません。

コロナ禍が高齢者の脳にもたらした悪影響(※写真はイメージです)
写真=iStock.com/LightFieldStudios
コロナ禍が高齢者の脳にもたらした悪影響(※写真はイメージです)

今後、コロナ禍が与えた健康への影響が統計的にも明らかになるかと思いますが、認知症への悪影響は小さくないはずです。