外出自粛で運動能力が著しく低下

60代~80代の方や、60代~80代、90代の親を持つ方はよくご存知だと思いますが、いわゆる高齢者、超高齢者がなんらかの事情で一定期間入院した場合、運動の機会が著しく減少します。

軽い内科手術などによって1週間程度入院しただけでも、筋肉量はかなり減少します。

この傾向は年齢が高ければ高いほど顕著です。

筋肉を使わなければその量はどんどん減少しますし、筋肉はエネルギーの貯蔵庫でもありますから、入院によるさまざまな体力低下を補うために消費されてしまうわけです。

入院されたことのある方はご経験があると思いますが、入院後にふくらはぎを触ってみると、思っていた以上に細くなっていることに気づきます。当然、運動能力も著しく低下しているわけです。

外出制限による運動不足は、同様に筋肉量の減少をもたらします。

糖尿病のリスクが増え、セロトニンの分泌量が減る

コロナ禍はそれ以外にも、高齢者の健康状態に悪影響を及ぼし、結果として認知機能の低下を招きます。

①視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五感を刺激する機会が減る
②高血圧、糖尿病、肥満のリスクが増す
③脳の血流の活性化が停滞する
④日光を浴びないために、脳の感情機能維持に必要なセロトニンの分泌量が減る

日光を浴びないためにセロトニンの分泌量が減る(※写真はイメージです)
写真=iStock.com/Yaraslau Saulevich
日光を浴びないためにセロトニンの分泌量が減る(※写真はイメージです)

この4つは、外出、運動、コミュニケーションの機会の減少によってもたらされますが、いずれも認知症発症のリスク要因です。