吉原には、客が女郎の抱えた借金を肩代わりし自分の妻や妾にする「身請け」というシステムがあった。歴史評論家の香原斗志さんは「五代目瀬川以外にも多くの女郎が身請けされた。中には有力藩主に落籍されたものもいる」という――。
NHK大河で描かれた主人公と花魁の恋の結末
瀬川(小芝風花)は悩んだ挙句、盲目の富豪、鳥山検校(市原隼人)の身請けの申し出を受けることに決めた。NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の第9回「玉菊燈籠恋の地獄」(3月2日放送)。
蔦重こと蔦屋重三郎(横浜流星)は、自分の瀬川への気持ちに気づき、身請け話を断ってほしいと頼んだ。蔦重が最初、瀬川がいなくなると客が吉原から離れる云々というので、瀬川は反発したが、蔦重はついに自分の気持ちを正直に告げた。「後生だから行かねえで。俺がお前を幸せにしてえの。だから、行かねえでください」。
瀬川の年季が明けるまで待つと蔦重がいうので、2人は将来を誓い合ったが……。瀬川が身請けを断る旨を、所属する妓楼すなわち女郎屋である松葉屋の主人の半左衛門(正名僕蔵)と女将のいね(水野美紀)に伝えると、いねは瀬川が蔦重と思い合っていると察し、瀬川に一晩で5人もの客をつけるなど、妨害をはじめた。
また、松葉屋は蔦重を呼び出し、瀬川が客の「相手」をしているところを見せ、「お前さんはこれを瀬川に年季明けまでずっとやらせるつもりか? 客をとればとるほど命はすり減っちまう」と伝えた。蔦重は反論できず、ついに瀬川を吉原から「足抜け」すなわち逃亡させることを決意した。