家を持たず、路上で寝泊まりをする人はどんな人たちなのか。自身も路上生活を体験したルポライターの國友公司さんは「人が路上生活を送る事情はさまざまあるが、ここ数年で都会のホームレスが激減している」という――。

※本稿は、國友公司『ルポ路上メシ』(双葉社)の一部を再編集したものです。

上野公園の炊き出しに並ぶ人々
筆者撮影
上野公園の炊き出しに並ぶ人々

炊き出しの情報は口コミが命

炊き出し取材でまず必要なことは、いつどこで炊き出しが行われているのか、そのスケジュールを把握することだ。

ネットで「炊き出し」と検索すると、場所や日時を一覧でまとめたサイトが出てくるが、実はこれだけでは十分と言えない。何かの事情でなくなっていたり、知らないうちに新しい炊き出しが定期的に開催されていたりするからだ。

炊き出しに並んでいる人を見ると、スマホを持っていない人も多い。私が寝起きをともにして接したホームレスたちの中では、持っている人のほうが珍しかった。

よって、この世界ではネットの情報ではなく、口コミの情報が大きな価値を持つ。そこでまず、炊き出し界隈でみんなに「九官鳥きゅうかんちょう」と呼ばれているおじさんを探すことにした。

600人いた上野のホームレスが10分の1に激減

九官鳥は都内のどこかに住みながら生活保護を受けていて、拙著『ルポ路上生活』での2カ月の体験取材中、炊き出しの現場で何度もその姿を見かけた。30年間、各地の炊き出しを渡り歩いているため、どこかの会場に行けばほぼ間違いなく会える。

東京都内でホームレスが多い場所はどこかと考えたときに、真っ先に浮かぶのは台東区上野である。

バブル崩壊による不況時(1990年代)は、上野公園に600人以上のホームレスが暮らし、その鬱蒼うっそうとした雰囲気は木々ではなく、彼らの家にかけられたブルーシートの屋根によってつくられていたという。

そもそも日本におけるホームレスの数はここ20年余りで10分の1にまで減少している。そこには、「高齢化により亡くなった人が増加」「ここ最近の夏の異常な暑さ」というシンプルな理由があると思っている。ただ、ここまで路上生活者が減ったのには、ほかにも3つの理由があると考えている。