会社から全社横断的なプロジェクトを任されたとしよう。成功させるためには、複数の部門を巻き込んで会議を重ねなければいけない。ところが、関係者の利害が衝突して会議は堂々巡り――。

会議が思うように進まないのは、運営の設計図を描いていないからではないだろうか。ひとくちに会議といっても、プロジェクトのフェーズによって目的や運営方法が異なる。それを無視して漠然と関係者を集めても、迷走するだけである。

プロジェクトは、関係者から意見やアイデアを募る「情報収集フェーズ」と、集まった情報をもとに意思決定や意見調整を行う「決定フェーズ」に分かれる。情報収集フェーズの会議では議論の“発散”が必要で、幅広く意見をすくいあげることが目的となる。

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図1 会議はプロジェクトのフェーズによって2種類ある

一方、決定フェーズの会議は議論の“収束”が目的であり、議論の脱線は許されない。いま行われている会議がどちらのフェーズのものかを考えれば、会議の目的も見えてくる。

目的が明確になれば、出席すべき人も必然的に決まってくる。まだ情報収集フェーズにあるのなら、情報を漏れなくすくいあげるために、さまざまな部門や立場の人に出席してもらったほうがいい。一方、決定フェーズの会議では、決裁権者が出席しないと、プロジェクトを左右する重要な決定ができない。

出席すべき人が決まれば、本来なら出席する必要のない人も同時に見えてくる。出席する必要のない人がいれる横やりは、会議が迷走する原因の1つだ。本人たちにとっても、必要のない会議への出席は苦痛でしかない。

必要のない人を省いていくと、出席すべき人は数人しか残らず、メールや電話で意見交換をするだけですむというケースもある。無駄な会議を減らすためにも、目的に照らし合わせた出席者の人選は必須だろう。

出席すべき人には、部門単位あるいは個人単位で役割を決めて、事前に伝えておくべきだ。自分に求められている役割がわかれば、出席者も相応の準備や心構えができる。また会議のスタート後、「聞いていなかった」と言われて議論がストップすることがないよう、会議の案内には必ず目的を明記しておきたい。

(構成=村上 敬)
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