会議には議論型と伝達型の2種類がある。

<strong>双日社長 加瀬 豊</strong>●1947年、千葉県生まれ。東京大学経済学部卒後、日商岩井(現双日)入社。ニュージーランド法人社長などを経て現職。意見を言いやすい環境づくりを心がけている。
双日社長 加瀬 豊●1947年、千葉県生まれ。東京大学経済学部卒後、日商岩井(現双日)入社。ニュージーランド法人社長などを経て現職。意見を言いやすい環境づくりを心がけている。

意見を出し合い結論をみるために限られたメンバーを集めるのが前者、対多の形で決定事項を伝えるのが後者。避けなければならないのは、議論型なのに議論が弾まず、結果として伝達型になってしまうことだ。

議論型の会議を成功させる主な要因は2つある。一つは目的を明確にすること。もう一つは適切なメンバー選定を行うこと。適任ではない出席者を集めてしまい、「○○の件について」と題して、大人数が集まり関連情報をお喋りするだけの会議は意味がない。

目的を明確化できれば、それだけで会議は8割がた成功する。さらに、肩書ではなく仕事の内容によって必要少数の出席者を集められれば完璧だ。会議の招集者は、この2点に留意してシナリオをつくらなければならない。

議論型の会議において、必要少数を集めるには、誰がキーマンなのかをあらかじめ把握しておくことだ。当然実務レベルの社員を招集する必要も出てくるが、当人の上司や関連部門の役職者をリストに入れてしまい、出席者数が膨れ上がってしまうケースがある。その際は会議の主宰者がキーマン以外の候補者を極力少なくするようにすべきである。

そのために社内関係者に対しては、会議の目的や主旨などをしっかりと説明しておくことも必要だろう。

進め方にも一考の余地がある。主宰者は本部長で、部長以下のメンバーを招集したとしよう。本部長には腹案があって、そのとおりの結論を導きたい。しかし出席者から忌憚のない意見を出させて、新しい視点が得られれば修正してもいいと思っている。

会議を成功させるには、部下に議事進行を委ねて本部長自身はしばらく口を開かないことだ。全員に意見を言わせるよう気を配るのも、主宰者の仕事である。主宰者が最初から発言すれば、全員の意見が引きずられてしまう。

出席する側も、十分に考えを練ってから会議に臨むべきだ。厳選されたメンバーであれば、意見を持たないはずはない。異論もあってしかるべき。十分に議論を尽くしたうえでの結論であれば当然、実行に移すまでのスピードも速くなる。