経済が混乱するほど、組織やチームで協働するという力が薄れがちだ。しかし、乱世だからこそ、チームワークは武器となる。高いEQを持った組織づくりに今こそ取り組もう。
個人よりチームが責任を背負う時代
経済が混乱している時代には、チームの団結や有効性が損なわれることがある。しかし、高業績企業になるためのカギは、機能的なチーム力なのだ。
今、個人ではなくグループが、かつてないほど大きな負担を背負うようになっている。調査が示すところでは、高い業績をあげるチームは偶然の産物ではない。超一流のチームは、メンバーが互いを信頼し、強い一体感を持ち、チームの有効性に自信を持っているのだ。つまり、そのようなチームは集団としての情動能力(EQ)が高いのである。
個人のEQと同じく集団のEQも、感情を認識することとそれらの感情を健全かつ生産的な方法でコントロールできることに関係があると、ニューハンプシャー大学准教授で、EQ研究のパイオニアである、バネッサ・アーク・ドリュスカットはいう。彼女とボストンのヘイグルーのリサーチ・コンサルタント、スティーブン・B・ウォルフがジョンソン・エンド・ジョンソンの部門横断型医薬品開発チームについて行った2年にわたる調査は、グループEQがチームの成否を分ける最も大きな要素であることを明らかにした。
他のあらゆる社会集団と同様、チームは共通の思考規範や行動規範によって統御されている。ドリュスカットとウォルフによれば、グループEQの高いチームは、相互の信頼やグループとしての一体感やグループの有効性を高める規範を確立している。結果、そうしたチームのメンバーは、チームの仕事を進めるにあたって他のチームより緊密に協力し、創造的に協働するのである。
チームEQを高めようとするマネジャーは、次の三点を実践することで着実なスタートを切ることができると、ドリュスカットやウォルフをはじめとする専門家たちは言う。