日本経済長期低迷の本当の理由は円高

安倍晋三元首相が亡くなられてから、マスコミでは安倍政権の功罪について、盛んに検証や議論がなされている。しかし、旧統一教会との関係性が問題視されたことで、すべてを否定的に断じようとする論調が一部で見られることは残念でならない。国民生活に貢献した点は功績として冷静に評価できないものだろうか。

経済分野では、アベノミクスは大きな功績だった。株価の上昇もそうだが、「雇用の創出」こそ、アベノミクスがもたらした最大の成果だった。2012年12月に第2次安倍政権が発足してから新型コロナウイルスの感染が始まる直前までの約7年足らずの間に、就業者数は実に約500万人も増加したのだ。

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この数字を聞いてピンとこない人に申し上げたい。福岡県の人口(約510万人)とほぼ同じ人たちが、アベノミクスによって新たに職を得られたのだ。正社員の有効求人倍率は0.52倍から1.18倍まで改善し、正規/非正規ともほぼ完全雇用に近いところまでになった。国内投資を控えていた企業も、人手不足に対応すべく動き出した。

第2次安倍政権発足時と同時に雇用は急回復