モニターに記者が集まるシュールな光景

岸田文雄首相がコロナ療養中に、突拍子もない愚策を次々に発表して、われわれを唖然とさせている。

国民にコロナの感染対策を徹底しろと呼びかけている当人が、お盆休みをとってゴルフをやり街中へ出てうなぎを食べと出歩き、挙句に、コロナに感染してしまった。

首相公邸からオンラインで記者団の取材に応じる岸田文雄首相(モニター画面)=2022年8月24日、首相官邸
写真=時事通信フォト
首相公邸からオンラインで記者団の取材に応じる岸田文雄首相(モニター画面)=2022年8月24日、首相官邸

私の友人の医者は、「日本で一番コロナにかかってはいけない人がいるとすれば、岸田首相だ。それが街中へ出てコロナに感染したのでは話にならない。彼はバカですよ」と吐き捨てるようにいった。

自分を律することができない人間にリーダーの資格はない。

療養中の8月22日、岸田首相は会見を開いた。毎日新聞デジタル(8月23日 21:27)によれば、

「『私が感染する事態も想定し、テレワークで職務を継続できるように、官邸と公邸との間に光ファイバーによる専用会議システムを整備させ、万が一の場合に備えてきた』。22日夜。感染後、初めて記者団の『オンラインぶら下がり』に応じた首相はこう強調した。

記者団が集められたのは官邸内の会議室。ICレコーダーを持った記者団がモニター越しに首相とやりとりするスタイルだ。この奇妙な光景に、SNS(ネット交流サービス)上では『シュールすぎる』『デジタル後進国の日本らしい』など冷ややかな反応が相次いだ」

なぜなら、このシステムはインターネットにつながっていないからだ。首相公邸と官邸の間だけしかつながっていないので、閣僚たちも毎日官邸に集まらなくてはいけないという。バカらしくて涙が出る。

全数把握見直しに加え、原発の新増設の検討も…

だが、こんなことぐらいで驚いてはいけない。その後、岸田首相は熱に浮かされたように、とんでもないことを次々にいい出したのである。

コロナ患者の全数把握の見直しと、最長60年とされる原発の運転期間の延長検討、さらに原発の新増設の検討を“決断”したというのである。

コロナ患者の全数把握見直しを自治体に丸投げしたため、多くの自治体から猛反発を受けて、2日後に方向転換せざるを得なくなった。

東京都の場合、今すぐ見直すとなると、重症化リスクのある人は今までと同じようにハーシスに入力すればいいが、それ以外の感染者については、総数などを各医療機関がFAXやメールで保健所に送らなければならない。そうなれば、逆に手間が増えて正確な情報把握が困難になるというのだ。岸田首相は赤っ恥をかいた。

私事で恐縮だが、8月1日にコロナに感染した。軽い咳と、38度台の熱が出て、かかりつけの医者の所へ行ってPCR検査をしてもらった。陽性だった。11日間の自宅療養は人付き合いの嫌いな私には苦ではなかったが、やはり心配だったのは、「重症化したら入院・治療をしてくれる病院があるだろうか」ということだった。