首相は「存じ上げない」の一点張りだが…
週刊文春が中山氏に話を聞くと、年に一度総会に出る程度で、日韓トンネルをやっているのは統一教会系と聞いたことがあるが、熊本ではそういう印象はなかったと答えている。
だが、その直後に、中山氏は議長を辞している。
週刊文春が岸田首相に事実関係の確認を求めたが、次のように答えたという。
「ご質問の会議(日韓トンネル推進熊本県民会議)については存じ上げませんし、同会議がご指摘のような関係があること(統一教会の関連団体であること)について知りません」
日韓トンネルを推進しているのが統一教会の関連だと知らないとは、よほど世事に疎い人のようだ。その程度の知識で、統一教会と関連がある議員は入閣させないなどと、よくいえたものだ。
週刊文春の取材によると、岸田首相の地元広島で選対責任者を務める県議や、岸田氏が強力に推して広島県から国会議員に当選させ、岸田派入りさせた前県議も、統一教会の関係団体と親密な関係があることが分かっているという。
「統一教会と関係の深い人物が、後援会長や選対責任者など岸田氏の政治活動を支える中枢幹部だったことが判明したことで、今後、統一教会問題にどのような対応をとるのか、注目される」(週刊文春)
安倍元首相という“重し”がとれた首相の苦難
この問題だけではない。東京地検特捜部に逮捕された高橋治之元電通専務の贈収賄事件だが、特捜部が本気でやる気になれば、高橋氏と親しかった森喜朗前組織委員会会長や電通、やはり東京五輪招致にことのほか熱心だった安倍元首相も捜査線上に上がってくるかもしれない。
一部報道では、岸田首相が組閣を急いだのは、統一教会ではなく、高橋氏の逮捕で、自民党議員の名前が浮上することを恐れてではないかと見る向きもある。
参議院選を大勝して「黄金の3年間」を手に入れたはずの岸田首相だったが、国葬の是非、統一教会問題、東京五輪をめぐる贈収賄事件が起き、自身の軽はずみな発言などと相まって、一転、「苦難の3年間」になりつつあるようだ。
私は、安倍元首相という重しはとれたが、今度は自分がやらなければならないという重圧が強くなり、元々宰相の器ではない岸田首相が耐えきれなくなってきているのではないかと心配している。
「When pigs fly」という英語の諺がある。豚は空を飛べない、「あり得ない」という意味だが、岸田首相がこの難局を脱して大宰相になることは絶対に「When pigs fly」であろう。