「みなさまの代表として、神の国の実現を果たしたい」

「萩生田さんは落選中の2009年から12年にかけて、八王子市内の教会施設で水曜日の夜に開かれる集会によく顔を出してくれていたんです。集会では、はじめに教会長らから“自民党が政権を取らないと日本が滅ぶ”などという話があり、その後に萩生田さんが登壇します。“政治の世界でみなさまの代表として、神の国の実現を果たしたい”と力強く語ってくれていたのを覚えています」

萩生田氏は、カルト特有の言葉遣いにも通じていたという。

文鮮明と韓鶴子夫妻について、「真の御父母おふぼ様」といっていたという。実際の父母と区別するために教会員が使う言葉だそうだ。

萩生田氏は安倍元首相に寵愛されていたから、選挙に弱い彼が、安倍氏から統一教会を紹介してもらったのではないか。以来、抜き差しならない関係になっていったということではないのか。

だがここへきて、岸田首相も統一教会と浅からぬ関係があると、週刊文春(9月1日号)が報じた。岸田首相の熊本県の後援会長が統一教会の関連団体と極めて近いというのである。

「日韓トンネル構想」の会議議長でもある

岸田首相の後援会長とは熊本市にある崇城大学の中山峰男学長で、2020年7月31日に発足した「熊本岸田会」会長を務めている。

知名度が不足していた岸田氏にとって、総裁選で勝利するには、党員票の掘り起こしが急務だった。中でも熊本は重点県だったという。

岸田派の議員は複数いるが、保守層が強い地域だからテコ入れが必要だった。中山氏は後援会長として党員票集めに奔走したそうだ。

文春によれば中山氏は、

「2011年から、『日韓トンネル推進熊本県民会議』の議長を務めていた。日韓トンネル構想とは、統一教会の教祖・文鮮明氏が提唱したプロジェクト。統一世界実現のため、日本と韓国をトンネルで結ぶという壮大な計画だ。全長は200キロで、総工費は10兆円に及ぶとされる。

実際、佐賀県唐津市では1986年に調査斜坑が起工された。ただ、現在までに500メートル程度の長さのトンネルが掘られたに過ぎない。

『それでも、2009年には「一般財団法人国際ハイウェイ財団」が設立され、徳野英治氏ら教団の会長経験者が評議員として名を連ねてきた。2016年には韓鶴子総裁が来日し、トンネルを視察するなどしています』(社会部記者)」

県政関係者がこういっている。

「統一教会の教義は、エバ国の日本がアダム国の韓国に対し、悔い改めなければいけないというもので、“反日”的な面が色濃い。ただ、その教義とは裏腹に、日韓トンネルは表向き、日韓友好を掲げてきました。関係者には政治と近い面々も多い。中山氏はこうした政界人脈を通じ、岸田氏の党員票獲得に動いてきたと見られます」