国葬の手続きに関して賛否はあるが、国民の弔意は明らか

2022年9月27日、安倍晋三元首相の国葬儀が執り行われた。私は当然駆けつけるべきところだが、医者からコロナ下での旅行を差し控えるように言われたので、NHK国際放送を見ながら元首相のご冥福をお祈りした。日本のテレビは献花に並ぶ人の列と反対デモを交互に映していたので、国論が真っ二つに分かれているかのような印象を抱いたが、実際に献花に行った人から状況を聞くと、どうやらそれは杞憂きゆうだったようだ。

武道館
写真=iStock.com/Sanga Park
※写真はイメージです

献花の列は九段坂公園から幾重も折り返し、4時間待ちだったという。平日にもかかわらず20~50代と思しき人々が多く参列し、午後からは制服を着た学生の姿もあったという。残暑の厳しい日だったが、列は静かに進んでいたそうだ。国葬の手続きに関して賛否はあったかもしれないが、国民の弔意は明らかだった。

宗教団体(旧統一教会)との関係が取り沙汰されて以降、安倍元首相の外交上、経済上の数々の功績が、すべて邪だったかのように断罪する論調が一部マスコミに見られる。その延長線上に、凶弾を放った山上徹也容疑者を擁護するような意見もあるという。いろいろな背景・事情で怒りを抱えることはあっても、司法手続きによらない報復、「自力救済」を認めたら、法治国家は成り立たない。