現在76歳の元自営業者の男性には、貯蓄3000万円と評価額5000万円の家という財産があったが、ほぼすべてを失った。原因は49歳の無職長男。中学時代から暴力癖があり15年前には親を自宅から追い出して、月20万円の仕送りをさせた。家を担保に借金し、賃貸暮らしをする男性の収入は年金だけ。要介護3の74歳の妻や、ネット通販工場でバイトする47歳の長女を抱え絶体絶命の危機にファイナンシャルプランナーが伝えたアドバイスとは――。
暗がりでドアに手をかける男性のシルエット
写真=iStock.com/Robin Beckham
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15年前から自宅を長男が占拠 妻の介護で肉体的に限界

関東地方のある都市に住む小林浩平さん(仮名・79)は、長年、長男(49)の暴力に悩まされ続けてきた。高校を中退して以降、働いたことがない長男は、15年くらい前から自宅(戸建て)を占拠して、ひとりで暮らしている。

自宅にはゴミが堆積するなど、近所でもゴミ屋敷ではないかと噂されるようになってきている。自宅を占拠される前から続く長男からの金の無心によって、山本家の貯蓄は底を突きかけている状態だ。

そのような中で、追い打ちをかけるように浩平さんの妻(74)の要介護状態が重くなった。今までは自宅で介護をしてきたが、最近、要介護3と診断され、自宅での介護は限界に近付いている。実は小林さんは、私の知人の友人である。長男の暴力と妻の介護で疲れ果てている小林さんのことを知人が心配し、その知人を介してお会いすることになった。

[家族構成]
小林浩平さん(仮名・76歳)
妻(74歳)要介護3
長男(49歳)15年前から自宅を占拠
長女(47歳)同居
次男(40歳)結婚して、別に世帯を持つ
[収入と資産の状況]
・浩平さんの年金額は、月に約12万円
・妻の年金額は、月に3万5000円程度
・長女のアルバイト収入は月に8万円
・世帯の貯蓄は100万円を切っている
・抵当権は付いているが、評価額が5000万円くらいの自宅を保有