2歳上の夫と共に年金で暮らしている77歳の女性。同居する48歳の長男は大学卒業後もバイトを少ししただけで、自室にひきこもってしまった。30歳の時に統合失調症になった後も不摂生を続けたため、46歳で脳梗塞に。右半身まひの後遺症が残った。介護で疲労困憊の女性は「体の動くうちに何かできれば」と社労士・FPである浜田裕也さんに相談した――。
暗い部屋でベッドメイクされていない人のいないベッド
写真=iStock.com/onsuda
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30歳で統合失調症、46歳で脳梗塞の長男を介護する77歳

今回の相談者は東京都在住の母親(77)。長年ひきこもり状態にあった長男(48)は約2年前に脳梗塞を発症し、右半身まひになってしまったそうです。長男は現在、訪問入浴や訪問リハビリ、そして母親からの介護を受けています。日頃の介護疲れがあるためか、母親の全身からは疲労の色が濃く漂っていました。

「私(母親)や夫はもうすぐ80歳になります。私の体が動くうちに、親として何か準備できることがあれば今のうちにやっておきたいと思っています」

母親は真剣なまなざしで筆者にそう訴えてきました。そこで、まず家族の基本情報から聞きとることにしました。

家族構成
父親 79歳
母親 77歳
長男 48歳
長女50歳は結婚しており、両親とは別居

収入
父親 老齢年金 月額11万5000円
母親 老齢年金 月額6万円
長男 心身障害者福祉手当(東京都の制度) 月額1万5500円
※長男は身体障害者手帳1級を所持

支出
生活費および住居費として 19万円

財産
現金預金 1000万円
自宅土地 1200万円

長男は身体障害者手帳1級を持っており、心身障害者福祉手当(東京都の制度)で月額1万5500円を受給されていますが、障害年金は受給していないようです。そこで筆者は母親に質問をしてみました。

「ご長男は障害年金の請求をしていないのでしょうか?」

すると母親は顔を曇らせ、ためらいがちに言いました。

「実は以前、年金事務所へ障害年金の相談に行ったことがあるのですが、相談窓口で『保険料の納付要件を満たしていないので障害年金は請求できません』と言われてしまいました……。なので障害年金はあきらめています」

「なるほど、そうだったんですね……。それは残念です」