13年前に一人息子を連れDV夫から逃れ、離婚した女性(現在55歳)。フルタイムのパートで生活を維持してきたが、息子は中学の途中からひきこもり状態になり鬱病と診断された。26歳になったが、今後も働くことは望めそうにない。「体力が衰え収入が減ったら私たちはどうなるのか、自分が死んだ後、息子はどうしたらいいのか」。漆黒の不安を抱えていた――。
暗い道を歩く人の足元
写真=iStock.com/CribbVisuals
※写真はイメージです

パートで手取り月収13万5000円の55歳母親の不安

20代以上のひきこもりの子供がいる場合、親亡き後の生活に備え、可能な限り貯蓄をしておくことは望ましい、と筆者は考えています。しかし「日々の生活を送るのに精いっぱいで、貯蓄をすることが難しい」といった家庭もあります。

筆者の元に相談に訪れた母親(55)もその一人でした。母親は小柄な体をさらに小さく丸め、胸の内を口にしました。

「夫とは13年くらい前に離婚し、現在は長男(26)と賃貸アパートで二人暮らしをしています。収入は私のパート収入のみで、親子二人分の生活費をまかなっています。しばらくの間はフルタイムで働くつもりですが、体力が衰えていけば働く時間も短くなってしまうことでしょう。貯蓄はほとんどないので、収入が減ってしまったら生活が危うくなってしまいます。私たちには頼れる身内もいません。一体この先どうなってしまうのか? 不安でたまりません……」

その口ぶりから、母親はお金の心配で頭の中がいっぱいになってしまい、冷静な判断ができていないように感じられました。そこで筆者は、まず現状を確認し、何か対策が立てられないかを考えることにしました。

■家族構成
母親 55歳 パート フルタイム勤務で社会保険に加入中
長男 26歳 ひきこもり 無職

■収入(月額)
母親 パート収入 手取り約13万5000円

■支出(月額)
基本生活費 約8万円
家賃 5万円

■財産
現金預金 200万円

現在の収入は月13万5000円、支出は月計13万円です。母親のパート収入が減ってしまったら、確かに家計は回らなくなってしまうことでしょう。